2021-01-01から1年間の記事一覧

ロリンズのような天才でなくとも

巣ごもり生活で夏休みが終わってしまった。コロナへの警戒感、他人とコミュニケーションをとることのない空虚さ、その裏表の気楽さ。そんなものがないまぜになった夏休みだった。有り余る時間に、そう遠くない未来の暮らしは、こんな感じなのだろうかと想像…

インスタが食文化を変える

夏休みに突入したものの、帰省はできないし天気も悪い。暇つぶしに、お昼ご飯を食べに出ながら家電量販店にでも行こうかということになった。やれやれ、昭和の暇のつぶし方だな。昼はラーメンを食べようということで、スマホでラーメン屋を探す。コッテリ系…

情熱と哀愁のチャーリー・マリアーノ

charlie mariano spanish impressions 情熱を内に秘めるアート・ペッパーとは対照的に、チャーリー・マリアーノのアルトは情熱を外に発散する。それはときに鬱陶しいのだけれど、スパニッシュな曲にはマリアーノのアルトが良く似合う。バックも腕利き揃いで…

至宝の号泣

53年ぶりのメダル獲得を目指したサッカーはメキシコに完敗。スペイン戦に続いて力負けだった。 久保建英が号泣している映像を見て、なんとも言えない違和感を覚えてしまったのは、自分が天邪鬼なのだろうか。泣く理由が理解できないし、みっともないと思って…

ヘビー級のブルーノート未発表音源

dizzy reece comin on ディスクユニオンの中古CDコーナーで見つけた一枚。ディジー・リースのリーダー作は『Star Bright』しか聴いたことがないし、アナログ盤なのでかれこれ数十年聴いていない。腕は確かだが、さほど魅力的なトランペッターではないという…

日本再生への第一歩

検察審査会が安倍晋三の不起訴処分を不当とした。検察の対応を注視したい。 議決書は最後に次のように指摘したという。「政治家はもとより総理大臣であった者が秘書がやったことだと言って関知しないという姿勢は国民感情として納得できない。国民の代表者で…

ブルース+ルイジアナ

bluesiana Ⅱ ドクター・ジョンとデビッド・ファットヘッド・ニューマン、そしてアート・ブレイキーの3人を核とするグループが『bluesiana triangle』というタイトルのアルバムを発表したのが1990年。スタンダードの「For All We Know」ではブレイキーが歌ま…

無垢なエロティシズム

ornett coleman tone dialling ジャズは個性を聴く音楽であり、クールなグループ・エクスプレッションが新しいジャズだとしたら、ジャズはその本質を失ってしまったということだ。つまらないジャズにしがみつく必要はない。個性が煌めくジャズを聴こう。オー…

夏の秋田駒ヶ岳

帰郷ついでに秋田駒ヶ岳を歩いた。頂上部のカルデラが起伏に富んでいる美しい山で、高校時代に国見温泉から2度ほど登った記憶がある。盛岡から近く、比較的楽に登れる山なので、何度かかみさんに声をかけてみたものの3000m級のアルプスか百名山しか興味がな…

Absolute Value

五輪狂想曲の真っ只中、新型コロナの感染者数は過去最高を更新したという。政治状況についてはもう何も語りたくない気分だが、五輪をめぐる不祥事の連続は 政治家だけが劣化したわけではないことを表している。問題の根は深い。なんでこんな世の中になってし…

登米を訪ねる

緊急事態宣言下の五輪連休は、都内でダラダラしても仕方ない。老母の様子を見に帰郷することにした。 渋滞を避けて早朝に出発し、途中、宮城県の登米に立ち寄った。北上川の舟運で石巻に農産物を運んだ小さな昔町だ。明治21年完成の高等尋常小学校校舎は重要…

みずみずしい隠れ名盤

jimmy cobb marsalis music honors 昨年ほぼ同じころに訃報に接したジミー・コブとエリス・マルサリス。上品なセンスが持ち味の名人たちの共演は、みずみずしくフルーティ。 伝統を受け継ぎながら古臭くなく、敷居が高いわけでもない。洗練された演奏はシブ…

快晴の白馬

八方池まで歩くか栂池を散歩するか、とにかく白馬方面に行こう。そう決めて朝4時に出発した。白馬に着くと、白馬鑓、杓子に大きな雲がかかっている。晴れない場合を考えて栂池に向かうことにした。ゴンドラとロープウェイで標高1900mまで登る。どんどん天気…

中年の元気のなさこそ問題だ

梅雨明け宣言が出た。さぁ夏!というところだけれど、緊急事態宣言中では元気も出ない。野外ライブイベントも中止が決定。その影響は想像以上に大きくて、若者たちの間で政権に対する不満が高まっているようだ。投票行動にどうつながるかはわからないけれど…

入笠山でマスク焼け

東京は週明けから4度目の緊急事態宣言。梅雨明けの便りはまだ聞こえてこないけれど、週末は久しぶりに太陽がのぞきそうだ。軽く歩きに行こうかと入笠山に向かった。マイカー規制があることを知らず、引き返してゴンドラに乗る。降りたところは標高1700mの高…

ピアノとヴァイブの清涼感

Gary Burton Real Life Hits 湿度が高いと運動もしていないのに身体がぐったり疲れる。まとわりつくような汗に気分も萎えてしまう。カラッと涼しい音楽が聴きたい。そこで登場していただくのがゲイリー・バートン。 引退した「山羊爺さん」の作品のなかでい…

蝦夷梅雨とホレス・シルヴァー

月に一度ほど札幌に出張していた時期があった。仕事の合間に時間が中途半端に空くときがあって、そんなときには南3西4にあるジャズ喫茶Bossaに向かった。 入口から真っ直ぐ行ったあたりに2人用ボックス席があり、いつもそこに陣取る。ここはスピーカーに正対…

皇室を無視する政権は保守か

宮内庁長官がオリパラ開催について、「感染拡大につながらないか陛下が懸念していると拝察している」と述べた。 なんだか回りくどい表現だが、要は国民の多くが開催に反対するなかで、天皇が晴れやかに五輪の開会宣言をするわけにはいかないということを内閣…

追悼 土岐英史

土岐英史が亡くなった。癌だったという。 先ごろ新作をリリースしたばかりで、まだまだ日本のジャズを牽引していくと思っていたので訃報に驚いた。以前にも書いたが、この人は歳をとってアルトの音にふくらみと艶が増した。新作が楽しみだったので残念でなら…

雄国沼のニッコウキスゲ

ヤマレコ情報によれば裏磐梯 雄国沼のニッコウキスゲが満開らしい。かみさんに知らせたら予想どおり「行きたいっ!行こうよー」「んじゃ、行くか」というわけで朝3時に起きて出発した。 8時過ぎに登山口到着。すでに路駐の列ができていたが、天候があやしか…

フレディ・ハバードとブルーノート4000番台

freddie hubbard goin up 上手すぎるのが災いして、日本では正当に評価されていないフレディ・ハバード。代表作がないように言われるけれど、これなんぞはハンク・モブレーの好演もあって最高の出来だと思う。マッコイ・タイナーも抑制された品の良いピアノ…

夕焼け

ウォーキングから帰る途中、空がどんどん焼けてきた。夕焼けが進んでいくのをゆっくり眺めるなんて、いつ以来のことだろう。この1年で生活が大きく変わった。 家にいる時間が増えてお金も使わなくなった。早寝早起きになったし、飽食せず、質素な食事で健康…

第三者委員会の大仕事

東芝の株主総会不正運営に経産省が関与していたことが第三者委員会の調査報告書で明らかにされた。問題の株主総会が開かれた当時の経産大臣は菅原一秀だ。報告書では、東芝社長から菅義偉に報告を行っていたことが明らかにされており、官房長官時代に菅が経…

梅雨の合間にウィントン・ケリー

wynton kelly full view 肌感覚でしかないのだけれど、いまウィントン・ケリーは、以前ほどの人気はないのではないだろうか。CDショップの店頭を見ていても、ケリーのCDが再発されることも発掘音源が発売されることも少ない。洗練されたケリーのピアノは、か…

過剰反応と思考停止のニッポン

雨が降らない土曜日は高尾山トレーニング。 駅前には早朝から4〜5人のグループでトレランする人が集まっている。コロナというのに、走るのにも徒党を組まないと気が済まないのだろうかと、日本人の集団行動志向に思いを巡らす。この1年、いろんなルートを歩…

トランペット・ワンホーンの名作

Eddie Henderson Colors of Manhattan 近年スモークセッションレーベルから力作を連発しているエディ・ヘンダーソン。マイルスライクの端正でクールなトランペットは品が良い。これは1990年の作品。当時50歳。ピアノのローラン・ド・ウィルデとの相性が抜群…

10年ぶりの再訪

巣ごもりしているのも馬鹿らしくなったので、思い立って有給休暇をとり、温泉に行くことにした。選んだ宿は長野の鹿教湯温泉、三水館。松本に立ち寄り、お昼ごはんに蕎麦屋を探す。中心部の中町通りから南に入ったところにある「野麦」という人気の店を訪ね…

1970年代のフィル・ウッズ

ジャズを聴き始めた頃、アイドルはフィル・ウッズだった。抜群のテクニックとスピード感で情熱的に歌い上げる、その演奏スタイルはパーカー派とはいえ、ブルースとは無縁。ポップでわかりやすかった。フィル・ウッズは1950年代から2015年に亡くなるまで長く…

福澤諭吉の心訓七則

丸屋の店内に掲げられていた福沢諭吉の心訓。どうやら福沢諭吉本人が定めたものではないらしい。福澤が子供らに向けた訓言「ひゞのをしへ 」に基づいて、戦後の高度成長期に何者かが7か条に文章化し、印刷物をつくって販売したものが流布したというのが真相…

喜多見の名店「丸屋」

美味しくて、価格も高くなく、メニューは豊富で、出てくるのが早い。気どらずアットホームな雰囲気で、きちんとサービスが行き届いている。「丸屋」は文句のつけようがない。各駅停車しか停まらない小田急線随一の地味な駅、喜多見にその店はある。運動不足…