2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

吉田博 展

「吉田博展」を見に東京都美術館へ出かけてきた。ポスターになっている裏剱の三ノ窓雪渓をはじめ、山岳風景の作品に惹かれたのがきっかけで画集を2冊持っているが、オリジナル版画を見たかったので、この展覧会は待ち遠しかった。40歳を過ぎて木版画を始めた…

経団連に存在意義はあるのか

日立の会長で経団連会長の中西宏明が連合の神津里季生とオンライン会談し、「日本の賃金水準がいつの間にか経済協力開発機構(OECD)の中で相当下位になっている」と発言したという。これには呆れた。人件費を抑えて配当率ばかり上げてきたのは経営者側であ…

ミンガスの遺伝子

rodney whitaker children of light DIWは力作ぞろいで、世界に誇れるレーベルといえると思う。これもそのひとつ。ジェームス・カーターが大暴れし、ロドニー・ウィテカーの重厚なベースがバンドをグルーヴさせる。1996年の作品だが、2010年の大西順子の傑作…

情念のオルガン

小学校低学年までは、オルガンを伴奏にして日常的に歌を歌っていた記憶がある。朝夕の始まりや終わりに先生がオルガンを弾き、子供たちが歌う。オルガンの音はそんなノスタルジックな光景とセットになっている。 米国人にとっては教室ではなく、教会がオルガ…

サンダースの手袋

大統領就任式に出席したバーニー・サンダースの服装が米国で話題になった。高級ブランドを纏った出席者たちのなかで、普段着のコートに手づくりの手袋という質素なファッションは「まるで郵便局にきたおじいちゃん」と報じられた。 賛否両論のようだが、個人…

異形のソニー・クラーク集

sonny clark memorial quartet voodoo ソニー・クラークへのリスペクトが詰まったこの作品は、ジョン・ゾーンのアルトの切れ味とグルーヴ感が痛快で楽しい。 ソニー・クラークの曲はイナたいというか、ちょっと垢抜けないところがある。ベニー・グリーンのア…

ベニー・グリーンの呑気さ

bennie green 刺激や興奮とは縁遠い。テクニックで唸らせるわけでもない。ある種の緩さがベニー・グリーンの持ち味であり魅力だ。演奏に覇気はなく、凡庸といえば凡庸。原因はリズム陣にある。なかでもソニー・クラークは精彩を欠いている。でも、リーダーの…

静かな街で質素に暮らす

1か月ぶりくらいに会社に行った。8日に緊急事態宣言出てからはスーパーに行く程度で、電車に乗るのもほんとうに久しぶりだ。その電車からは額面広告がほとんどなくなっている。街にはそこそこ人はいるものの、通常に比べると相当少ないので、ストレスを感じ…

大衆芸能としてのソニー・クリス

sonny criss crisscraft ソニー・クリスはジャズを聴き始めたばかりの人にも受け入れられる大衆性を備えている。演歌っぽいといえば言葉が悪いが、ブルージーといえば急にかっこよく思えてくる。「日本は言霊の国」という井沢元彦の見立ては正しい。そんな日…

三密を愉しむ

Philip Catherine Trio Moods Vol.1 誰に聴かせるわけでもなく、3人で対話するように楽器を奏でる。こちらはあくまで至芸に耳を傾けるだけ。メロディに合わせて口ずさんだり感情移入することは一切許されない。 どこにも入り込む余地は全くない。まさに三密…

ドン・チェリーの超ジャズ

コロナ後の世界はどうなるのだろう。日米ともにコロナがなければ政権は代わっていなかったはずで、歴史はどこでどう変わるかわからない。人間は常に不確実さのなかに生きている。マンフレッド・アイヒャーがいなかったら欧州ジャズは今ほど勢いはなかっただ…

追悼 半藤一利

半藤一利が亡くなった。 編集者としても作家としても、そして昭和史研究の第一人者としても素晴らしい仕事をしてきた知識人だった。歴史に立脚して現在を的確に捉え、政権に対しても手厳しく本質的な批判を行っていただけに、できるだけ長生きして発言を続け…

支持率低下で

まさか、次はこれじゃないだろうな。

サッポロの発売中止をめぐって

サッポロビールとファミマの共同開発によるビールがパッケージデザインのスペルが間違っていたことが判明し、発売4日前に発売中止となった。「LAGER」が「LAGAR」になっていたという。デザインを担当した会社は真っ青になっているに違いない。気の毒に思う。…

食わず嫌いの男性ボーカルのなかで

ジャズボーカルはめったに聴かない。たまに聴いても女性ボーカリストで、男のジャズボーカルはまず聴くことはない。何をすき好んで野太い男の声に耳を傾けねばならないのかと思う。 だから手元には男性ジャズボーカルのアルバムはない、若干の例外を除いて。…

再びのウィントン・マルサリス

上手いけど面白くないと言われ続けてきたウィントン。新伝承派なんていう名前をつけたのが良くなかったのか、発言がジャズジャーナリズムの反感を買ったせいなのか、兄弟2人とも揃って日本では注目されなくなってしまった。かつての神童も今年還暦。完璧なテ…

時代錯誤のセクハラ演出

NHKの歴史番組『歴史秘話ヒストリア』はナビゲーターのアナウンサーが和服姿で登場する。これがたまらなく嫌だ。いまどきこんなオヤジ向けの演出はいかがなものかと言わざるを得ない。年齢を重ねて綺麗になった渡邊佐和子アナを見たいのはヤマヤマだが、下品…

箱根駅伝と緊急事態宣言

帰省も初詣もとりやめ、箱根駅伝をダラダラみて正月を過ごした。最終区間での逆転は記憶になく、今年は最後まで楽しむことができた。 ただ、天邪鬼としてはテレビを見ていて気になることがあった。区間賞をとった選手たちがインタビューを受けると、まず口々…

希望の2021年

首都圏に再び非常事態宣言が出されそうな状況になってきた。思惑と忖度が浮遊し政策は迷走している。後手後手に回っているのは明らかだ。「自助、共助、公助」をキャッチフレーズにする政府は、無能ぶりをさらけ出すことで、国を頼ってもムダだということを…