小学校低学年までは、オルガンを伴奏にして日常的に歌を歌っていた記憶がある。朝夕の始まりや終わりに先生がオルガンを弾き、子供たちが歌う。オルガンの音はそんなノスタルジックな光景とセットになっている。
米国人にとっては教室ではなく、教会がオルガンとセットなのかもしれない。だとすれば、日本人が思う以上に身近な楽器ということになる。
ジャズのオルガン奏者といえばジミー・スミスだけれど、個人的には弟子のKANKAWAのほうが体質にあう。翻訳されたサウンドのほうがオルガンは馴染みやすいのかもしれない。
KANKAWA organist
KANKAWAの諸作のなかでもこのアルバムには特別なムードが漂っている。カタカナで「ソウル」というよりも、日本語で「情念」といったほうがぴったりくるような哀感、極限までスローに落とすことで深く沈み込んでいくようなエロティシズム。これほどディープなジャズはなかなかない。