新しい古本屋という希望

とくに行くところもない週末。井の頭公園の近くに写真集専門の古本屋があるのを見つけ、訪ねてみることにした。
バス停を早めに降りて、散歩がてら住宅地のなかを抜けていくと、そのお店があった。

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古本屋というよりは、カフェと見紛うような小綺麗なお店で、客は若い女性が多い。値段も良心的でいくつか買いたいものもあったが、荷物になるのでやめてしまった。店が狭いため入場制限しており、じっくり見るわけにもいかなかったので、また平日にでも訪ねてみたい。

旅行で地方都市を訪れると、個性的な古本屋を見つけることがある。大分のカモシカ書店、岐阜の徒然舎、松本の想雲堂など、若い人たちが古本屋の新しいかたちを示してくれている。そんな古本屋を見ると、無性に嬉しくなる。
ちょっとユニークでお気に入りの古本屋があれば、それだけで休日は楽しい。

portrait in black and white

チェット・ベイカー晩年の東京でのライブ盤を名盤たらしめているのは、「portrait in black and white」の素晴らし過ぎる演奏によるものだと思う。作品としての出来は『Let's Get Lost』のほうが上をゆくけれど、あの演奏がある以上、自分にとってチェットの最高作は『Live in Tokyo』で動かない。
このジョビンの名曲を演奏している作品を探して出会ったのが、エディ・ヒギンズのピアノによるバージョン。

eddie higgins portrait in black and white
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このピアニストはツボを押さえて柔らかく仕上げる。ここでのバージョンも期待を裏切らない。
ヴィーナスレーベルによって日本で人気ピアニストとなったエディ・ヒギンズ。エロジャケとオーバープロデュースでヴィーナスの作品はとても買う気にならないが、これはヴィーナスがエディ・ヒギンズに注目するきっかけになった作品で、プロデュースはエディ・ヒギンズ自身が務めている。「Lullaby of the Leaves」で始まる曲の並びもいい。

芸能としてのジャズ

芸能は芸術よりも一段低いものというニュアンスがあるけれど、もともとはパフォーマンスによる芸術行為を意味するとのこと。ならばジャズをはじめとして、音楽はすべて芸能といったほうが、より本質的に思えてくる。

ローランド・カークの音楽ほど芸能という言葉がしっくりくるものはない。肩肘張って真剣に聴くものではなく、バックグラウンドミュージックとして流すようなものでもない。ローランド・カークを聴くときには、カークと一緒に演奏を楽しむ距離感が必要だ。

rorland kirk kirkatron
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ライブこそ、カークの真骨頂。ポップすぎるきらいがある『Volunteered Slavery』よりも、こちらのほうがバランスが良くて好きだ。玉手箱から次々と飛び出すポップでブルーなメロディ。カークはメロディメーカーとしてもっと評価されていい。
四谷いーぐるの後藤さんが推薦盤として取り上げたことがきっかけで、ずいぶん前に一度CD発売されたが、中古でもほとんど見かけない。もう少し丁寧に音源を編集して再発してくれると嬉しいのだが無理だろうなぁ。

ローランド・カークはジャズから大衆芸能的な要素が消えてしまい、スノッブなインテリの音楽になってしまったことを無念に思っていることだろう。ミンガスは怒っていそうだなぁ。

NIPPONIA

少し前まで「地方創生」という言葉があった。かけ声だけで消えてしまったかと思っていたら、興味深いビジネスが生まれていることを知った。株式会社NOTEというベンチャー企業が展開するNIPPONIAというプロジェクトだ。古民家を再生して宿泊施設を運営。その理念をNIPPONIAというブランドで展開している。
https://team.nipponia.or.jp/about/

このプロジェクトに興味を持ったのは、たまたま美濃を訪れたときのこと。うだつが上がる美濃の町を歩いていたら、なにやらお洒落な空間があった。かつて和紙の原料商いで財をなした人物の別宅をリノベーションした宿泊施設のほか、ギャラリー、和紙のワークショップが並んでいる。複合商業施設とは違う穏やかな空気が流れていて、これはいったい何なんだろうと興味が湧いた。

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若い人たちが、歴史と伝統を大切にしながら、これからの社会のあり方を考え、新しい時代を切り拓いている。「ほんとうの豊かさとは何か」と言われてから随分経つけれど、社会は確実に変わりつつある。これからもNIPPONIAには注目していきたい。

どうにも止まらない

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4月28日15時現在の新宿駅西口。写真で見るよりは人が多く感じるけれど、平時に比べると閑散としている。

不思議な空気が東京を覆っている。
「風邪みたいなもんだ」「どうやっても罹るときは罹る」と言わんばかりの人々が街頭に多くいる一方、警戒感を抱える人々は静かに行き交う。二極化していて、共通点はマスクをしていることぐらいだ。

インドでは1日30万人以上の感染者が発生しているという。死者も1日2500人を数え、世界最悪の状況に陥っている。米国の場合はメガ・チャーチでの集会が感染を広げた。インドではヒンズー教の宗教行事「クンブ・メラ」が影響している。宗教が感染拡大に大きく関係しているのは明らかだ。

ウイルス感染の危機でも、宗教活動は止めない。
東京五輪が止められないのは、五輪が国家を統合する宗教の役割を果たすと考える人々と、単なる利権屋が手を結んでいるからなのだろう。自民党公明党が手を結んでいるように。

3度目の緊急事態宣言に

日曜日から始まった緊急事態宣言。ジュンク堂に行こうとしたら、商業ビルが休館で2フロアを占めるジュンク堂も休み。そりゃそうかと、スゴスゴ引き揚げてきた。

大きな商業施設は休館になったが、路面店は営業しているし、ホームセンターや家電量販店のような商業施設は営業しているのだから、ややこしい。東京ディズニーランドだって営業している。「東京」を冠しながらも、こんなときに限って、千葉にあるから休業はしないという。「夢の国」とはハリボテのご都合主義国家らしい。

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4度目がないことを祈りたいが、変異株の動向が日本人の運命を握っている。英国からインドへ移っていったと考えれば、マレーシアあたりでまた変異しているかもしれない。アジアで毒性の強い変異ウイルスが出ないとも限らないし、なにより世界は日本発の新型ウイルスを秘かに警戒している。五輪開催が世界の賛同を得られる可能性はない。