吉田博 展

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「吉田博展」を見に東京都美術館へ出かけてきた。ポスターになっている裏剱の三ノ窓雪渓をはじめ、山岳風景の作品に惹かれたのがきっかけで画集を2冊持っているが、オリジナル版画を見たかったので、この展覧会は待ち遠しかった。

40歳を過ぎて木版画を始めた吉田博。浮世絵と西洋画の技法を合わせた精緻で空気感のある作品は、海外で人気が高かったらしい。戦後、進駐軍の関係者もアトリエを訪れていたという。

木版画の制作は、絵師、彫師、摺師というプロフェッショナルによる分業制だということを、恥ずかしながら初めて知った。浮世絵の数倍も摺重ねて複雑な色彩を出していくのが吉田博の特徴。高い技術を持つ扱いづらい職人たちを統率する力があったのだろう。

木版画で世界の風景を描こうとしていた吉田だが、最後の作品が農家の土間を描いたものだったというのは印象的だった。