あり得たかもしれない近未来

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このアルバムには、"あの時代"の空気がある。
リリースは1994年。阪神大震災オウム事件は発生しておらず、Windows95も登場していない。バブル崩壊は明らかになったものの、まだ多くの人は不況が長引くとは思っていなかった。世界は分断ではなく融合の予感に満ちていた。

ビル・ラズウェルが生み出すサウンドは近未来をイメージさせる。ウェイン・ショーターを起用したのは慧眼というほかない。その後の世界の変容を知ったいま、この作品を久しぶりに聴いたが、27年前の作品にもかかわらず、古臭さを感じることはなかった。
ここにパッケージされているのは、あり得たかもしれない近未来なのだ。