2020-01-01から1年間の記事一覧

フー・ツォン逝く

年末になってフー・ツォンの訃報が入ってきた。感染力を増したcovid-19の犠牲になってしまったようだ。 中国の知識階級の家に生まれ、文化大革命で両親が自殺するという重荷を背負って生きてきたフー・ツォン。歴史に翻弄されながらも、透徹した視線で音楽と…

ビル・ラズウェルの世界

Bill Laswell Against Empire 先日、中古CDショップでフリージャズのコーナーをのぞいていたら、ビル・ラズウェルの最新作を見つけた。キラキラとダイヤモンドダストが降り注いでいるような凝ったジャケットに惹かれ入手。ビル・ラズウェルをジャケ買いする…

カウント・ベイシーのチャーミングなピアノ

BASIE and friends レッド・ガーランドとカウント・ベイシーは、チャーミングなピアノを弾く二大ピアニスト。 ガーランドがコロコロとスイングするのに対して、少ない音数で要所を締めるベイシーのピアノには癒し効果がある。ベイシーのピアノをトリオで聴き…

牝馬の年

2020年の競馬を締めくくったのはクロノジェネシス。宝塚記念と合わせてグランプリ連覇となった。牝馬が有馬記念を制覇したのは2年連続、今年はアーモンドアイ、グランアレグリアと合わせて牝馬がG1を総ナメにした。 コントレイルが順調に成長してくれれば、…

誰に向かって発信しているのか

西村コロナ大臣が「年末年始はステイ・ウィズ・ユア・コミュニティ」と言い出した。東大教授が提唱した考え方らしいが、そのまま垂れ流して国民に伝わるとでも思っているのだろうか。春には小池百合子が「ステイホーム」、二階のご機嫌伺いは「GO TOキャンペ…

アルバート・アイラー没後50年

Albert Ayler Nuits De La Fondation Maeght 1970 久しぶりにアルバート・アイラーを聴く。ソウルフルでよく歌う、頭でっかちではないフリージャズ。ラストレコーディングとなったこのライヴ盤はとりわけ強烈で、最初から最後まで圧倒される。ジャズの到達点…

デイヴ・パイクを聴き比べる

デイヴ・パイクはもっと評価されていいミュージシャンだと思う。唸り声のせいか、ラテンを演ったりジャズロックをやったりと流行に飛びつくのが嫌われたのか。はたまた相当の女好きだったらしいから、人間性が疑われるようなことでもしたのか。いずれにせよ…

関越道の立往生に思う

トレーラーがスリップして道を塞ぐ形で止まってしまったのが原因のようだが、その後の対応が遅すぎないだろうか。片側を通行止めにしてバスでホテルに運ぶといった迅速な対応がなぜとれないのだろう。NEXCO東日本は通行止めにするタイミングを見誤ったという…

JAZZ TOKYOの見識は?

八木隆幸 congo blue このピアニストを聴くのは初めてだ。ガツンとした歯ごたえのあるタッチ。澱みなく次々とフレーズが紡ぎ出される。饒舌なピアノだ。素晴らしい演奏なのだが、ふと「このポップさはなんだろう」と思いはじめた。フレーズがポップというか…

鉄壁のビッグバンド

Bob Florence Limited Edition Serendipity 18 隙のないアンサンブル、強烈なドライブ感、ソロイストも皆抜群に上手い。まったく非の打ち所がない傑作。グラミー賞受賞も当然と思える傑作だ。 西海岸には腕達者がたくさん。それにしても凄まじい完成度。ベイ…

感謝される仕事

13年前に今のマンションに住み始めて以来、初めてハウスクリーニングというものを頼んでみた。 前々からお願いしてみたいと思っていたものの、どれだけの効果があるのかわからないうえに、年末は予定が立たないこともあって予約もしにくかった。平日に予約し…

スウェーデンの失敗

集団免疫の獲得でコロナを克服しようしていたスウェーデン。一時はこの独自の政策が奏功したように見えたが、 10月末以降、死者が急増しているようだ。隣国との歴然とした差は集団免疫政策の失敗を裏付けている。スウェーデン政府はここにきて政策を転換して…

ご隠居のワンホーン作

clark terry everything's mellow プレスティッジのイージーリスニングレーベルであるmoodsville。名盤といえるような作品があるわけではないが、手練たちの名人芸を味わえる小品が揃っている。このアルバムは秘かな愛聴盤で、聴くたびにクラーク・テリーの…

三島由紀夫没後50年

テレワークで本屋に行く機会も減ってしまったので、たまに出社した帰りに本屋に立ち寄った。 三島由紀夫没後50年ということで関連書籍が並んでいるのが目につく。 自決時も「ハラキリ小説家」などと揶揄された三島だが、ここにきて日本の劣化ぶりが三島の遺…

ようやくわかったビル・ワトラスの凄さ

大学時代、ビッグバンドでトロンボーンを吹いていた友人が、この人は凄い!と言っていたのが、ビル・ワトラスだった。そこで入手したのがフェイマスドアの『Bone Straight Ahead』。タイトルが決まっているし、モノクロームのジャケットがかっこいい。フェイ…

イタリアの職人たちの仕事

idea 6 metropoli イタリアは職人文化の国。丁寧な手仕事、個性的なモノづくりが根付いている。 このアルバムも丁寧な仕上がりだ。録音時70歳を越えていたジャンニ・バッソらフロント陣をはじめ、メンバー全員が鉄壁の演奏を聴かせる。素晴らしい演奏なのだ…

言葉のない政治

国会のやりとりを聞いていると、コミュニケーションが成り立たない人物がこの国の首相となっていることに、今更ながら呆れてしまう。 何を言っても議論にすらならない。怒りっぽくて知的レベルが低い。空手のポーズを決めて悦に入っている若い頃の写真が出て…

地平線をつくるビル群

少しでも運動不足を解消しなきゃと、先週末、高尾山を歩きに行った。紅葉は終わっているものの人は多く、できるだけ人が少ないルートをたどって高尾山山頂から小仏城山へ向かった。城山の名物といえばかき氷だが、寒い時期はこれ。おでん500円、なめこ汁300…

姑息な目くらまし作戦

アベを餌にして学術会議問題の目くらまし。読売との連携プレーは上手くいっているようだ。陰湿な政治は刃を突き付ける相手を選ばない。

名盤か珍盤か

pepper adams encounter なぜここにズート・シムズとエルヴィンがいるんだろう。タイトルのencounterはペッパー・アダムスとエルヴィン、ペッパー・アダムスとズートの邂逅ということなのだろうけれど、結果的に共演することになったズートとエルヴィンの組…

9冠のフィナーレ、ジャパンカップ

現役最強の8冠馬に3冠馬2頭が挑戦したジャパンカップ。アーモンドアイが完勝して引退を飾った。これで9冠め、アイドルホースは伝説となった。 歴史的瞬間を現場で見れなかったのは残念だが、コロナだからこそ実現したレースでもある。 これぞgood raceという…

ジョージ・コールマンのこの一曲

George Coleman My Horns Of Plenty マイルスクインテットでは添え物のような印象しかなかったジョージ・コールマンだが、このアルバム収録の「My Romance」を聴くと、なんて素晴らしいテナーなんだろうと思う。ふくよかな音色で歌い上げるバラードは絶品。…

covid-19は変異している

大阪ではこの1ヵ月で41人が死亡、そのうち35人は重症に至る前の段階で亡くなっている。昨日は1日で12人が亡くなった。死に至るまでがこれまでとは違う。これは夏の東京・埼玉型ではなく、ウイルスがまた変異している可能性が高い。 今回は欧州型ではないかと…

プロ野球の格差拡大と教育

日本シリーズはソフトバンクの4連覇で終わった。『煙草と巨人ファンはやめられない」と思っていたものの、ずいぶん前に両方ともあっさりやめたので、この結果については何の感情もわかない。 それにしても2年連続日本シリーズ4連勝というのはちょっと異常事…

ツボを押さえたコルトレーン集

Jean Toussaint impressions of coltrane ジャズメッセンジャーズでは地味な脇役にすぎなかったジーン・トゥーサンだが、ここではコルトレーンフォロワーとして最良の仕事をしている。1曲目は『coltrane plays the blues』収録の名曲「Mr.Syms」。このゆった…

意外にもリバーサイドレーベルらしさが表れた1枚

手書き文字と色づかいが素敵で入手したリバーサイド盤。ジャケットデザインはポール・ベーコン。この人はブルーノートの10インチ盤のデザインも手がけている。ただブルーノートの10インチ盤のデザインは個人的にはあまり感心しない出来だ。ポール・ベーコン…

スローダウンしよう

三連休は父の17回忌で久しぶりに帰郷した。正月以来だからほぼ1年ぶりとなる。 時が経つのは早いもので、16年で変わったものもあればまったく変わらないものもある。その差が自分のなかで極端に映るのは何故なんだろうかと考える。きっと、変わらないことを…

記憶を失った町

高田松原津波復興祈念公園は3つの施設から成る。追悼・祈念施設、東日本大震災津波伝承館、道の駅だ。追悼・祈念施設は海に向かって道がまっすぐ伸び、途中に献花台があるだけだ。どこか広島の平和祈念公園を思わせる。モニュメントがなく、どこで追悼したら…

40年前のブラック・ライブズ・マター

21世紀になっても人種差別問題が消えないという現実は、人類の精神は進歩しないということを証明しているかのようだ。Black Lives Matter運動もそのうち沈静化し、また事件が発生して抗議活動が起きる、その繰り返しが無限ループのように続く。沖縄問題も同…

チェット・ベイカー晩年の安息

charlie haden silence チャーリー・ヘイデンのリーダー作だが、主役はもちろんチェット・ベイカー。 ここでのチェットは文句なく素晴らしい。録音はホテルから転落死する半年前の1987年11月。この時期はクスリで酩酊状態のまま録音されたアルバムもあるが、…