ようやくわかったビル・ワトラスの凄さ

大学時代、ビッグバンドでトロンボーンを吹いていた友人が、この人は凄い!と言っていたのが、ビル・ワトラスだった。そこで入手したのがフェイマスドアの『Bone Straight Ahead』。

f:id:milesmode:20201207202046j:plain

タイトルが決まっているし、モノクロームのジャケットがかっこいい。フェイマスドアは『Zoot at Ease』という傑作を出している。ピアノは同じくハンク・ジョーンズ。名盤の予感がした。

ところがいざ針を落とすと、うーん‥‥。スティーヴ・ガッドの起用は失敗だし、肝心のトロンボーンの音もいまいち。ほとんど聴くこともなく処分してしまった。遥か昔のことである。

それからどのくらい経ったことだろう。ディスクユニオンで『Bone Straight Ahead』を見つけた。小さくなってしまったが、やはりそそるジャケットだ。昔は良さがわからなかったんだろうと思い直し、再び入手した。まったくピンとこない。すぐ処分してしまった。これもずいぶん前のことである。

その後『Live at the Blue Note』と
『Bone-ified』を聴いた。悪くはないが、正直、凄さを感じるほどではなかった。つい数年前のことである。

そんなこんなでビル・ワトラスはずっと気になり続けていたが、先日ついに彼の本領が発揮された盤にたどり着いた。

bill watrous coronary trombossa !
f:id:milesmode:20201204183033j:plain

これは凄い。美しい高音、早いパッセージ、息つく暇もなく流れるように続くアドリブフレーズ。トロンボーンの作品として最高の名盤ではないだろうか。

どうしてこうも印象が違うのだろう。
ビル・ワトラスの凄さに辿りつくまで、かくも長い年月を要した原因は『Bone Straight Ahead』に惑わされたことにある。こうなると『Bone Straight Ahead』をもう一度聴き直したくなる。買い直そうかと思ったが、同じ轍を踏むのは間違いない。

ビル・ワトラスの作品は廃盤になっているものが多い。あのアルバムこそ廃盤にしたほうがいい。せめてジャケットを変えるべきだ。あれはカッコ良すぎる。