意外にもリバーサイドレーベルらしさが表れた1枚

f:id:milesmode:20201119231218j:plain

手書き文字と色づかいが素敵で入手したリバーサイド盤。ジャケットデザインはポール・ベーコン。この人はブルーノートの10インチ盤のデザインも手がけている。ただブルーノートの10インチ盤のデザインは個人的にはあまり感心しない出来だ。

ポール・ベーコンはリバーサイドで数多くのジャケットデザインを行っている。さまざまなテイストのものがあって、一見してそれとわかるような個性はない。後に本のカバーデザインを中心に仕事するようになり、携わったものは生涯で6500を数えるという。アーティストではなく職人だったのだろう。
この『New Blue Horns』のジャケットデザインはアーティストとしての面が表れているように思う。特定のミュージシャンの作品ではないため、自由にやれたのではなかろうか。

さて、この盤の内容はといえば、アウトテイク集ながら、なかなか面白いオムニバスアルバムになっている。クラーク・テリーとモンクの『in orbit』セッションは組み合わせの妙で味があるし、ナット・アダレイケニー・ドーハムの貴重なセッションも収められている。
単なる寄せ集めではなく、選曲も含めてしっかりと編集がなされている。丁寧な仕事はジャケットデザインだけではない。

リバーサイドレーベルの創設者でプロデューサー、オリン・キープニュースがコロンビア大卒業後に選んだ職業は、出版社の編集者だった。その後、ジャズ雑誌『J azz Changer』の編集に携わるようになる。そこに執筆者として加わったのがポール・ベーコンだった。
リバーサイドはジャズ雑誌の編集部に集まったメンバーが母体となって発足した。そんなレーベルカラーが表れた、丁寧に編集されたオムニバスアルバムということができるだろう。