ノスタルジックで愁いを含んだイタリア映画が好きだ。『ニューシネマパラダイス』を筆頭に、ヴィスコンティ、フェリーニ、ベルトリッチといった映画史を彩る巨匠たちの作品もけっして難解ではない。フランスなど他の欧州映画よりも日本では受け入れられているのではないだろうか。
イタリアのジャズもいい。エンリコ・ピエラヌンツィやエンリコ・ラヴァなどは安定して良作を出しているし、ファブリツィオ・ボッソやジョバンニ・ミラバッシの人気も高い。なかでも90年代にアルド・ロマーノがパオロ・フレスをフロントに迎えたカルテットは、イタリアジャズの水準の高さを示している。
aldo romano Non Dimenticar
これは彼らの素晴らしいバラードアルバム。チェット・ベイカーをなぞるような「エスターテ」を聴いていると、改めてチェットの凄味を感じるけれど、パオロ・フレスのバラードプレイにはうっとりさせられる。ジャケットがもうちょっと良ければ、人気盤になっていてもおかしくない隠れ名盤。