2020-01-01から1年間の記事一覧

西海岸のB級名盤

マイクロソフトteamsを使ったリモートでの打ち合わせが増えたが、会社では周りの声が聞こえてしまうため、会議がやりにくい。畢竟、家でリモート会議をしてそのまま仕事することが多くなった。 テレワークをしていると、リビングと仕事部屋を行ったり来たり…

奥蓼科で日本再生を考えた

Go Toでどこも予約でいっぱいの週末。奥蓼科の渋・辰野館に空きがあるのを見つけ、久しぶりに訪ねてみた。 この宿には20年ぐらい前に一度泊まったことがある。山仲間と一緒だったのだが、なぜか風呂や部屋の記憶がほとんどない。そのころはまだ温泉に興味が…

アル・コーンの渋味

西海岸で活動する白人テナーというのはどうにも食指が動かない。アル・コーンも聴く気がしないミュージシャンだった。古臭そうだし風貌がオッサンくさい。アル&ズートでは、音が硬くてズートの引き立て役といったところだ。ところが、ある時期から、あまり個…

戸田ツトムとその時代

デザイナーの戸田ツトムが7月に亡くなっていたことを知った。 1980年代に現代思想の"ニューアカ"ブームとなっていた頃、戸田ツトムの知的でメカニカルなデザインはとにかくカッコ良かった。「イメージ」や「感性」という言葉を隠れ蓑にした緩いデザインを許…

マルグリュー・ミラーのしなやかさ

ジャズはおおよそ武骨な音楽だけれど、洗練されるにつれ、ビバップのようなエネルギーや熱気はすっかり失われてしまった。洗練されるということはそういうことで、何かを得れば何かを失う。 やはりモダンジャズ第一世代が亡くなったことが大きい。日本でいえ…

サブスク時代とコレクションする楽しみ

遅ればせながら、Bluetooth対応の小さなスピーカーを買ってきてspotifyを飛ばしてみた。 安い割に音もいい。なるほど近頃は音源をダウンロードして、こうやってBluetoothで飛ばして聴いているんだなぁと、改めて時代の変化を実感した。 こうなるとspotifyの…

トランプからバイデンのアメリカへ

米国大統領選はバイデンの勝利でようやく決着した。 大阪の住民投票といい、大接戦ながら2つとも良識派が制し、少し潮目が変わっている気配を感じる。コロナがなければ、大阪の住民投票もトランプも圧勝していた可能性が高い。コロナは間違いなく世界を変え…

晩秋の黒斑山

秋晴れの11月、浅間山の外輪山を歩きに行った。 御嶽、乗鞍、槍穂から後立山、妙高まで一望しながら登ると、1時間ちょっとで浅間がドーンと現れる。浅間山の特徴的な山肌を間近に見ることができて大迫力。今度はぜひ「ガトーショコラ」になった姿をみてみた…

イタリアジャズの隠れ名盤

ノスタルジックで愁いを含んだイタリア映画が好きだ。『ニューシネマパラダイス』を筆頭に、ヴィスコンティ、フェリーニ、ベルトリッチといった映画史を彩る巨匠たちの作品もけっして難解ではない。フランスなど他の欧州映画よりも日本では受け入れられてい…

中庸と凡庸のあいだ

Ron Carter The Bass And I スティーヴン・スコットは、マルグリュー・ミラーの後継者的な立ち位置のホープだった。デビューも早く、ロン・カーターやソニー・ロリンズのバンドメンバーとしてキャリアを重ねた。でも、マルグリュー・ミラーほどの評価を得る…

新宿Refrainの記憶

jazz seen ティル・ブレナーによるウィリアム・クラクストンのドキュメンタリー映画のサントラ。ティル・ブレナーのセンスが光る。さまざまなアーティストの演奏が編集されたかたちで聴けるのは楽しいし、ながら聴きにはちょうどいい。アート・テイタムやベ…

嵐フェスをみる。

国民的アイドルグループ、嵐が結成21周年の日に無観客ライブ配信を行った。2時間ほどのライブを2本。1本4800円だというから、2本で1万円近い。ビックリだが、ファンクラブ会員のかみさんに付き合って2本とも見てしまった。もうすぐ活動休止となるので、かみ…

維新の会、落日の始まり

2万票弱の差で維新の会の謀略が否決された。この構想が実現すれば大阪市がなくなるということが知れ渡り、維新の会の胡散臭さ、体質の危険性に無党派層が気がつきはじめた結果といえる。地道に辻説法を続けた山本太郎の力を最大限に評価しなければならない。…

菊地雅章の到達点

菊地雅章について語るのは難しい。 簡単に好きとは言えないし、さまざまな面があって得体のしれないところがある。そもそも好きとか嫌いといった対象にはさせない気配を纏っている。それが鬱陶しいと感じたなら、嫌いということになるが、それは音楽から離れ…

深まる秋に

山中良之with Barry Harris 坂本九の名曲「見上げてごらん夜の星を」とスタンゲッツの名演が忘れられない「O Grande Amor」。この2曲をストレートに吹くだけでじんわりと響いてくる。いつもながらバリー・ハリスのピアノも最高。この季節にぴったり。

ジェームス・テイラーのアメリカ

マイケル・ブレッカーの『Nearness Of You』を聴いていたら、久しぶりに聴くジェームス・テイラーの歌声がとても心地良く響いた。JTの場合、曲がどうのとかではなく、優しい歌声を聴いているだけで癒される。早いものでもうすぐ10月も終わろうとしている。11…

無敗の三冠馬の誕生

単勝1.1倍という人気を背負ったコントレイルが叩き合いを制して菊花賞を勝った。外からルメールのアリストテレスに合わせられて差されそうだったが、最後まで抜かせなかったあたりが並の馬ではない。 史上3頭目の無敗の三冠馬は父にそっくりの優等生。ディー…

Go Toキャンペーン狂想曲

Go Toトラベルキャンペーンに都民割というのが加わり、都内の高級ホテルに格安で泊まれるようだ。高級ホテルは今や予約で一杯らしい。 得することに目ざといことは非難されることではないとはいえ、下品という言葉が浮かぶ。税金を使っていったい何をやって…

『鬼滅の刃』と格差社会、同調圧力

大ブームの『鬼滅の刃』TVアニメ版26話分を見てしまった。かみさんがAmazonプライム会員のおかげで、おこぼれに授かることができたのだが、ブームになった要因の一つに、テレワーク中にAmazonプライムで見たという人が結構いるように思う。断っておくと、テ…

近藤等則逝く

近藤等則が亡くなった。近藤等則はバブルの頃、IMAというバンドを率いて先鋭的なサウンドを繰り広げ、注目を浴びていた。CMにも起用されるなど、スタイリッシュなミュージシャンという印象だった。 当時は彼の演奏をあまり聴いたことがなかったが、後年DJ KR…

テナー奏者としてのユーセフ・ラティーフ

エリック・ドルフィー、ローランド・カーク、サヒブ・シハブ、そしてユーセフ・ラティーフ。ドルフィーは別として、マルチリード奏者たちには傍流ゲテモノ感が漂う。サヒブ・シハブとユーセフ・ラティーフは、エキゾチックな名前にも原因がありそうだ。たと…

三冠の秋

秋競馬が始まって、無観客から抽選による入場制限に変わった。馬券が当たりそうになれば、ついつい声が出る。叫ぶなと言われても無理というもの。だから競馬はどのイベントよりも解禁が遅くなると思っていた。 この秋は牡馬牝馬ともに三冠馬が誕生する可能性…

筒美京平の30年

筒美京平が亡くなった。昭和15年東京生まれの都会っ子らしい、洋楽のエッセンスを取り入れたヒット曲の数々は、万人に愛される軽やかさがあった。昭和歌謡とはいうけれど、ブルースの匂いはなく、あくまでもポップ。そこが都会的と感じさせる要因なのかもし…

1980年代の名作

charlie rouse soul mates シブいメンバーによる名作。録音は1988年。 チャーリー・ラウズの中庸さ、サヒブ・シハブの異彩、ウォルター・デイヴィスJr.の武骨、これらが絶妙に混じり合って、じっくり煮込んだシチューのような味わい。先日亡くなったクラウデ…

越後と上州の旅

台風で貝掛温泉にキャンセルが出たのを見つけ、Go Toキャンペーンを利用して投宿。貝掛温泉を訪れるのは3〜4度目になる。狭い橋を恐るおそる渡ってたどり着く宿の佇まいがいい。ここはお湯の透明度が高い。これは結構重要なポイントで、湧き出したお湯が新鮮…

大信州

5年がかりでやった仕事が賞を受賞することが決まった。日頃から自分の仕事は自分が評価すればいいと思っているものの、外から客観的に評価されるとやはり嬉しい。秘かに狙っていたのでホッとした気分もある。何はともあれ、キャリアの集大成として誇れる仕事…

学術会議の任命拒否問題

学術会議の任命拒否問題は、この国の知的レベルが深刻な事態にまで低下していることをうかがわせる。この国の首相な何を言っても通じないサルだ。 おバカがトップを務めているのはアメリカも同じだが、チャーミングさがあるだけ、あちらのほうがマシ。 内閣…

サヴォイのドナルド・バード

donald byrd byrd's word サヴォイは地味なレーベルだが、内容の良い作品が数多くある。ドナルド・バードのこの作品もその一つ。華麗なテクニックとブリリアントな音色、出しゃばりすぎない成熟した演奏ぶり。クリフォード・ブラウンは何を聴いても金太郎飴…

ヴァレリー・ポノマレフのハードバップ

valery ponomarev profile トランペットの音はクリアでストレート、不良っぽさは微塵もない。 クリフォード・ブラウン系とはいえ、ヴァレリー・ポノマレフはリー・モーガンやフレディ・ハバードといったジャズの本流をいくミュージシャンとは毛色が違うミュ…

ウェイン・ショーターに痺れる

weather report live and unreleased 自分にとってのウェザーリポートは、ウェイン・ショーターのテナーを聴くためのグループ。ウェザーの熱心なファンとはいえず、このライブアルバムが出ていたことも知らなかった。 国内盤帯付きで2枚組とは思えない安さで…