近藤等則逝く

近藤等則が亡くなった。

近藤等則はバブルの頃、IMAというバンドを率いて先鋭的なサウンドを繰り広げ、注目を浴びていた。CMにも起用されるなど、スタイリッシュなミュージシャンという印象だった。
当時は彼の演奏をあまり聴いたことがなかったが、後年DJ KRUSHというミュージシャンと共演した『記憶』を聴き、マイルスの正統的後継者は近藤等則かもしれないと思うようになった。

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2015年に出た久しぶりのリーダー作『you don't know what love is』でも、スタンダードを素材にエレクトリックトランペットで近藤にしか出来ない未来的サウンドを聴かせてくれていた。このところ精力的に活動しはじめていただけに、いろんなミュージシャンとの共演が見たかった。71歳という若さでの死は残念に思う。

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変な話だが、近藤等則というと1997年のシルクジャスティスが勝った有馬記念を思い出す。中山競馬場で出走前のファンファーレを近藤がソロで吹いたのだが、アヴァンギャルドな演奏は場違いも甚しいものだった。近藤を知らないかみさんは、「なにこれ、馬だって気分が悪くなる」とのたまったが、競馬ファンのたいていはそんな受け止め方だったように思う。

団塊の世代で京大出のインテリ。創造への闘志が空回りするようなところもあったが、ジャズミュージシャンらしい硬骨漢だった。
孤独感漂うクールなラッパの響きは、時代を超えて刺さり続ける。