マルグリュー・ミラーのしなやかさ

ジャズはおおよそ武骨な音楽だけれど、洗練されるにつれ、ビバップのようなエネルギーや熱気はすっかり失われてしまった。洗練されるということはそういうことで、何かを得れば何かを失う。
やはりモダンジャズ第一世代が亡くなったことが大きい。日本でいえば大正から昭和一桁生まれということになるのだからちょっと驚く。ラヴィ・コルトレーンやウイントン・マルサリスが50代後半なのだから、もはや孫の世代に入るころだ。

ECMは別格として、欧州系のジャズが主流となりつつあるのは、あまり歓迎できない。グルーヴ感のないジャズはコシのない麺を食べているような感じがしてしまう。洗練されていてコシがある、そんなジャズが聴きたい。

mulgrew miller getting to know you
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マルグリュー・ミラーはMAX JAZZレーベルのライブ作品群もいいが、このアルバムも代表作に上げたい一枚。しなやかなグルーヴ感は洗練の極み。いつ聴いても新鮮に響く。