昭和の哀感

1970年代の日本のジャズの熱気を受け継ぎ、新たな創造を行うことを謳ってスタートしたDays Of Delight レーベル。第一弾の土岐英文『Black Eyes』は期待どおりの力作だった。第2弾として昨年発売されたのが、峰厚介のワンホーンカルテットによる『Bamboo Groove』。
海外盤や中古価格に慣れてしまうと、国内盤新譜は高く感じて購入を見送っていたが、ディスクユニオンで中古が安くなっていたので迷わずゲットした。

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峰厚介は脇を固める堅実なミュージシャンで、強烈な個性があるわけではない。テナーの音も張りが弱く感じていた。ところがこのアルバムでは若手を相手に気迫あふれるプレイを展開、テナーの音にもハリがある。ドラムに重量感があってバンド全体がグルーヴしている。
なんといっても5曲目の「Late Late Show」がいい。これぞ1970年代の日本ジャズのテイストだ。板橋文夫「Good-by」、森山威男「ハッシャバイ」を思わせる暗い情動を抱えた哀感がたまらない。

昭和は遠くなりにけり。この哀感は世代を超えて共有できるものなのだろうか。