2022-01-01から1年間の記事一覧

戦前の気配

安倍晋三が射殺されるという衝撃的なニュースが日本中を駆けめぐった。犯行動機は統一教会に家族を壊された容疑者が、同教会と密接な関係にある安倍晋三を狙ったものだという。安倍一族が統一教会と深い関係にあるのは確かとはいえ、強い殺意を抱く理由とし…

驚きのCD化

板橋文夫のデビュー作『濤』がCD化された。 代表曲「Good-by」はさまざまなバージョンがあるけれど、デビュー作でのピアノトリオ・バージョンは原点のようなもの。以前、このバージョンを収録したベスト盤CD 『WATARASE』が発売されたこともあって、アルバム…

不遇の名盤

物覚えが悪くなっている。とりわけ人の名前を覚えられない。直接会って話すことが減っていることもあるのだろうけど、なにしろ記憶に残らない。同年代に聞いてみると、みな同じらしい。やれやれ。脳のトレーニングを兼ねて、この時季にピッタリのアルバムや…

雨やどり禁止のマナスル山荘

かつての同僚夫妻と入笠山に出かけた。ゴンドラで標高1700mまで行ける楽ちん山。コロナ禍の昨年初めて訪れたが、 1週早いだけのほぼ同時期で、アヤメや九輪草の群落を見ることができた。この山の楽しみの一つがマナスル山荘のビーフシチュー。ちょうど昼に到…

シンプルライフ

中央アルプスを望む眺めのいい高台の土地が見つかった。空木から南駒ヶ岳へ続く山容が美しい。隣地との関係で少し調整が必要だが、ここに家を建てることにした。 土地が決まれば家づくりが本格的に始まる。新しい土地で暮らす日も近い。無駄なものを削ぎ落と…

追悼 小田嶋隆

コラムニストの小田嶋隆が亡くなった。享年65。あまりにも若い。 この人を知ったのは比較的最近のこと。Twitterで流れてくるツイートがきっかけでファンになった。諧謔的でひねりの効いた文章はこれぞコラムというもので、この人の社会批評や政治批判ほど合…

ビリー・ホリディを聴きながら

the sound of jazz このアルバムはオムニバス盤でもコンピレーションでもなく、1957年のジャズシーンをとらえたテレビ番組のサウンドトラックだという。 編集が前面に立っているわけではないのだけれど、聴きごたえがあるのは、『ダウンビート』の編集者でジ…

クラウドファンディングがひらく可能性

伊藤新道復活プロジェクトに6月18日時点で730万円集まっていることに驚く。クラウドファンディングで一口5,000円からとなっており、1万円を寄付している人がいちばん多いのにも驚かされた。 以前なら新聞や雑誌で募るくらいしか方法はなく、時間もかかった。…

辺境から伝統を継ぐ者

giveton gelin true design バハマ出身のトランペッター、ギブトン・ジェリンのデビュー作。新人とあってヒップホップなどを取り入れたストリート系サウンドかと思いきや、オーソドックスな4ビートジャズ。 ネオハードバップの系譜につらなる都会的なサウン…

リスクとコスパ

なんとなく感じていたとはいえ、衝撃的なニュース。内閣府の調査の信頼度がどうなのかわからないけれど、これが実態だとすれば、少子化どころか、日本の人口減少は加速度的に進みそうだ。 リスクとコスパばかり考えているようでは多くのものを失う。これは社…

ルビコン川の先にあるもの

参院選が近いが、まったく盛り上がりに欠ける。その責任は第一にマスメディアにある。イシューを覆い隠すことに手を貸して生活の糧を得る、いわば政治ゴロでしかない存在は早晩消える運命にある。 それにしても、もはや手遅れを感じざるを得ない。前回の衆院…

絶望と不寛容から逃れよう

かつての同僚と3人で飲み会を開いた。それぞれ違う部署になってしまったが、関係は変わらない。久しぶりに楽しい一夜を過ごした。7歳下の後輩が仕事の辛さの原因がどこにあるのか、話しはじめた。彼によれば「一億総広告代理店化」ということになるらしい。…

ヒーローはまだか

andy martin How About You? 柔らかい音色と完璧なテクニックで現代最高のトロンボーン奏者といえるアンディ・マーティン。ピアノには前作に続いてヤン・ラングレンを迎えた快作。 お手本のような演奏。でもこの優等生ぶりは気に入らない。強い個性やスリリ…

哀愁よろしく

barry harris plays barry harris 上京したころは椎名誠ブームで、本屋には彼の本が並んでいた。なかでも『哀愁の町に霧が降るのだ』はよく売れていたように思う。当時、純文学からノンフィクションに軸足を移していた自分は読むことがなかったけれど、椎名…

サブスク嫌い

chien chien lu the path うーん、どうなんだろう。これは。 都会的サウンドはポップで聴きやすい。でもどこか古くささを感じてしまった。 いまいち感心できない原因はリズムにある。ドラムが叩き出すビートが単調でエキサイティングではないうえに、うるさ…

ジャズ・メッセンジャーズの隠れ名盤

Art Blakey & The Jazz Messengers Gypsy Folk Tales 1970年代のジャズ・メッセンジャーズはメンバーも定まらず停滞期とされる。とはいえ1977年発表のこの作品は 、ウォルター・デイヴィス・ジュニアが数年ぶりにメンバーに加わって曲も提供、曲良し演奏良し…

アル・ヘイグの白鳥の歌

al haig Blue Manhattan [Interplayレーベルは、主宰者でプロデューサーの妙中俊哉という方がロス在住だったようで、カタログにはアート・ペッパーやクロード・ウィリアムソンなど西海岸のミュージシャンたちの音源が並ぶ。 そんなInterplayがわざわざ当時ニ…

ウォルター・デイヴィス・ジュニアの良作

小川隆夫『ジャズジャイアンツ・インタヴューズ』でウェイン・ショーターがモードイディオムについて語っている。そのなかで興味深かったのが以下の部分。「わたしにとって大切なことはリー・モーガンという偉大な音楽家と出会えたことだ。一緒にウォルター…

2022年日本ダービー

晴天の日本ダービー。大観衆の東京競馬場は2019年以来。物語の主役はやはり武豊だった。地鳴りのような歓声、そして拍手。かみさんのおかげで入場でき、感動的フィナーレをライブ観戦できた。 馬券も22年ぶりのダービー的中で美酒に酔う。ありがとさん。

笑えないニュース

サルベージ船が沈没船を再沈没させてしまうという笑えないニュースに驚く。これは前代未聞の犯罪。国の腐敗が底知れない。元凶の「国士」が死んだ。2022年のニッポンの風景。

中川村共和国でスープカレー

良い土地が見つかったと喜んでいたものの、契約寸前で思わぬことから頓挫、土地探しは振り出しに戻ってしまった。理想の土地を求めて奔走しているものの、なかなか思うようにはならない。少々疲れてしまったので、気分転換を兼ねてお昼ごはんを食べに「basec…

東西対抗トロンボーン合戦

the trombones inc. 休日の午後、何を聴こうか迷うときがある。疲れるのは避けたいし、お気楽ジャズではつまらない。そんなときにうってつけなのが複数のトロンボーンの競演作。ほんわかしながら競演を楽しみ、心穏やかに休日を過ごすことができる。これは東…

レイ・ブライアントのソロピアノ

Ray Bryant alone with the blues サイドでキラリと光る演奏を聴かせるレイ・ブライアント。メルバ・リストンのアルバムでも輝きを放っていた。 リーダー作ならプレステッジ盤が代表作になるのだろうけれど、実は「ゴールデンイヤリング」以外は印象が薄かっ…

才女、メルバ・リストン

Melba Liston and Her 'Bones さまざまな作品でアレンジャーとしてクレジットされているのを目にするメルバ・リストン。ツボをおさえた親しみやすいアレンジは、才能の豊かさを感じさせる。 カンザスシティ出身というと泥臭いイメージがあるけれど、メルバ・…

一色屋のえびせん

土産の物々交換みたいなかたちでいただいた海老煎餅がとても美味しかった。煎餅のなかに茶色いものが入っていて、てっきりエビかと思ったら、なんとアーモンド。これが食感の良さにつながっていて、ちょっとほかにない上品なえびせんになっている。なにより…

陣馬形山

伊那谷の河岸段丘と中央アルプス(左から南駒ヶ岳と空木岳、右に宝剣岳と千畳敷カール) 塩見から赤石に連なる南アルプス陣馬形山へは山道をクルマで駆け上れば山頂直に辿り着く。伊那谷の河岸段丘と中央アルプスを一望でき、振り返れば南アルプスの峰々が連…

ハーレムの空気

babs gonzales Voila Amazonでは値段が高すぎて入手できなかったバブス・ゴンザレスの一作目。ディスクユニオンJazzTokyoで安値で発見、思わず小躍りしたくなった。こういうことがあるから、リアル店舗は楽しい。ダミ声でのボーカル、スキャット、ラップのよ…

海上保安庁の実力

SOSが4月23日13時で、最初に発見されたのが24日朝8時。観光船で遊覧ルートも明らかなのに、19時間も要するのは遅すぎないだろうか。 海上保安庁を中心とする国をあげての捜索能力がこの程度なのだとしたら、そうとうヤバい。NHKは異常なほど大々的に報道して…

バリー・ハリスを追いかけて

Terry Gibs Bobstacle Course バップピアノが好きで、バリー・ハリスを追いかけてたどり着いたのが、テリー・ギブスのこのアルバム。 「softly〜」はじめ4曲並ぶジャズスタンダードに期待が向かうけれど、6曲目の「Do You Mind?」というオリジナル曲が、これ…

そのうち名盤

nice and easy the soulful vibes of johnny lytle B級好盤の宝庫ともいえるレーベルJAZZ LAND。なかでもこのアルバムはその筆頭にあげられる。 4曲目のスピード感とクールさ、5曲目のブルージーさがハイライトだけれど、LP時代はA面ラストとB面1曲目になる…