不遇の名盤

物覚えが悪くなっている。とりわけ人の名前を覚えられない。直接会って話すことが減っていることもあるのだろうけど、なにしろ記憶に残らない。同年代に聞いてみると、みな同じらしい。やれやれ。

脳のトレーニングを兼ねて、この時季にピッタリのアルバムや曲を記憶から探してみることにした。
夏の曲として思い浮かんだのが「Summer Night」。この曲が収録されているアルバムとして思い出したのがスタン・ゲッツの『The Master』。記憶の棚から断片を引っ張り出すことについては、まだ大丈夫のようだ。

このアルバムは間違いなく名盤なのに、まったく光が当たらないばかりか、不遇の扱いを受け続けている。まず、お蔵入りしていた音源であることが躓きのもと。1975年の録音で発売は1982年まで待つことになる。フュージョン時代で売れないと判断したのかもしれないが、耳が悪いとしか言いようがない。おまけにCBSは手抜きの酷いジャケットデザインで発売した。

これでは海賊盤とみまがうではないか。
ちなみに自分が保有しているのはアナログ盤で、ジャケットデザインはこちら。

なんの変哲もないデザインではあるけれど、シンプルでキリリとした佇まいだ。オリジナルがこのデザインなら、もう少しマシな扱いを受けていたような気がしてならない。

この音源は演奏内容がほんとうに素晴らしくて、長年CD化されるのを待ち望んでいた。数年前にやっとCD化されたと思ったら、オリジナル盤のジャケットを採用していてガッカリ。
酷いデザインの場合、オリジナルにこだわる必要はない。デザインを一新しての再発を強く要望したい。