ハンプトン・ホーズの日

1977年11月13日、ハンプトン・ホーズは48歳の若さでこの世を去った。ウィキペディアによると、2004年にロサンゼルス市議会は、命日の11月13日を「ハンプトン・ホーズの日」とする決議を行ったという。

3枚の『The Trio 』シリーズ、なかでもVOL.1がピアノトリオの名盤として挙げられることが多いハンプトン・ホーズ。ウエストコーストジャズの軽さを象徴するこの作品は個人的にはまったく愛着がわかない。『The Trio 』 なら、病んだポートレートがいい雰囲気のジャケットと冒頭の「You and The Night and The Music」でVOL.2に手が伸びる。

ジャズが最高に輝きを放っていた1958年に、ホーズは麻薬で収監されてしまった。もったいないと思う一方で、この経験は彼の音楽に良い変化をもたらしたと確信する。
1963年に恩赦で放免されて復帰後、ホーズの演奏は陰翳を深めていった。その代表が『Hamp's Piano』『Spanish Steps』(『Blues for Bud』)。欧州への楽旅中に録音されたこれらの作品こそ代表作にふさわしい。

Hamptom Hawes at the piano
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1976年に録音されたこの作品は、ホーズの死後、発表されたせいで、あまり取り上げられることはないけれど、上記2作と遜色のない名盤。ロバータ・フラックのヒット曲「やさしく歌って」に注目が集まるが、2曲目のオリジナルと「Sunny」がたまらない。バップフレーズで繰り出すブルース感と哀愁はジャズの魅力そのものだ。
長らく廃盤になっているのだろう、Amazonでは高値になっているし、中古で見かけることもない。こういう作品は再発してほしいものだけれど、ジャケットもこんなデザインだし、売れないだろうなぁ。

なぜ没後27年経って「ハンプトン・ホーズの日」を決議したのか不明だが、麻薬犯罪歴もなんのその、素晴らしいピアニストを顕彰しようというのは、良い意味でアメリカらしい。
今日はハンプトン・ホーズに花束を。