ウエストコーストジャズは嫌いでも

The Nature of Things Lenny Hambro Quintet
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アルトサックスは楽器のなかでとりわけ音色が重要。オーネット・コールマやジョニー・ホッジズの色っぽい音にはうっとりしてしまうし、反対にヴィンセント・ハーリングは生理的に受け付けない。
アルトはやっぱりチャーリー・パーカーのように軽やかにさえずってもらいたい。そのうえバラードプレイが上手くなければならない。
その点レニー・ハンブロはいい。音は少し軽めだけれど、バラードプレイになると艶っぽいし、素直な歌い方で情感を表現する。

このアルバムはギターを加えたクインテットで、ウエストコーストジャズ風の軽快なサウンドながら、エディ・コスタのゴツゴツしたピアノがアクセントになっている。3曲目と9曲目のバラードがなにしろ絶品で、この2曲が作品としての価値を高めている。
今どきのアルトは、Will VinsonにしろImmanuel Wilkins にしろ、ケニー・ギャレット系の音を出す人が多く感じる。軽やかで美しい音色のレニー・ハンブロのアルトが新鮮に響く。