辺境から伝統を継ぐ者

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バハマ出身のトランペッター、ギブトン・ジェリンのデビュー作。新人とあってヒップホップなどを取り入れたストリート系サウンドかと思いきや、オーソドックスな4ビートジャズ。
ネオハードバップの系譜につらなる都会的なサウンド、柔らかく伸びやかなトランペットは、師と仰ぐロイ・ハーグローヴに似ていて、早逝した天才トランペッターが生まれ変わったかのよう。ボビー・ワトソンの近作にも参加しているようで、他流試合を重ねてジャズ界をリードする存在になってほしい逸材だ。晩年のロイのアルバムよりも良い出来ではないだろうか。
もう一人のフロントはジュリアード音楽院の先輩、アルトのイマニュエル・ウィルキンス。ジャミール・ショウをさらに情熱的にしたこちらもアルトの新星。

ジャズの伝統を継ぐ優れたミュージシャンが辺境の周辺国から登場してきた。ジャズはまだまだ可能性を秘めている。