バラードの名手ルイ・スミス

louis smith ballads for lulu

ブルーノートから2枚のリーダー作を発表したことでジャズの歴史に名を刻んだルイ・スミス。1作目の『Here Comes Louis Smith』はトランジションレーベルの音源をアルフレッド・ライオンが買い取ったものなので、ブルーノートでのリーダーセッションはチャーリー・ラウズを迎えたクインテットによる『smithville』のみ。
その『smithville』は「embraceble you」が印象的、というかこの一曲だけにあるといっても過言ではないと思う。終盤にチャーリー・ラウズがオブリガードをつけるだけで、ほぼワンホーン。まろやかな美しい音で伸びやかに歌い上げる演奏を聴けば、誰もがルイ・スミスが名手であると認めるはず。

それから30年あまりを経て発表された本作は、ワンホーンのバラード集。悪いわけがない。
『smithville』での「embraceble you」同様、伸びやかな美音でバラードを素直に演奏している。ピアノのジム・マクリーニーも好演。
やや一本調子ではあるものの、トランペットのワンホーン作として珠玉の名品といって良いだろう。さすがスティープルチェイス。ミュージシャンをよく理解している。