カーメル・ジョーンズに花束を

carmell jones quartet

ブラインドで聴くとブルー・ミッチェル?と思ってしまうカーメル・ジョーンズ。ともにホレス・シルバークインテットに在籍していたという共通点がある。きれいな音色で、よく歌うところがホレス好みなのかもしれない。
やや線が細くて、フレディ・ハバードのような押し出しの強いトランペッターが活躍するなかでは、存在感が希薄だったのか、1965年から15年間ドイツに移住。この間、リーダー作の録音に恵まれることもなく、シーンから完全に忘れられてしまった。

この未発表音源は1960年の録音で、カーメル・ジョーンズにとって初録音ということになる。サイドはベースのゲイリー・ピーコック以外は聞いたことがないメンバー。なんとも不思議な音源だが、ピアニストのフォレスト・ウエストブルックが所有するスタジオでリハーサル的に録音されたものらしい。音質・内容ともに良好だし、ワンホーンでじっくりカーメル・ジョーンズのトランペットを聴くことができるという点でも貴重。カーメル・ジョーンズは素晴らしい演奏をしているだけに、もう少しグループとしてのまとまりや完成度があればと思わずにはいられない。

パシフィックレーベルにリーダー作を残していることで、てっきり西海岸出身と思っていたが、実はカンザスシティ生まれのカーメル・ジョーンズ。西海岸に行かずにニューヨークに向かっていれば、あるいは15年も渡欧せずに米国にとどまっていたら、もっと活躍の舞台が用意されたのではないだろうか。
実力がありながら日陰の道を歩んでしまった愛すべき名トランペッター、カーメル・ジョーンズに花束を。