MJQの逸品

MJQ legendary profile

著名人が好きなアルバムを1枚あげるというのは、編集企画として定番のひとつだ。個人的な視点でのディスク紹介という意味ではSNSに近いといえる。
著名人の嗜好を知ることは人間研究にもなる。他者に対して抱いていたイメージが的確なものだったのかどうか、答え合わせもできる。
このアルバムを「好きな1枚」としてあげていたのは筑紫哲也。「ニュース23」を始めた頃だっただろうか、『スイングジャーナル』の別冊だったと記憶している。
当時はやや意外に感じられた。それは筑紫さんがジャーナリストとしてみせる厳しさとMJQの奏でる音楽にギャップを感じたからではないかと思う。今となっては、例えばコルトレーンやマイルスのアルバムをあげていたら、それこそ筑紫さんらしくないと思うだろう。本人とは関係ないところでイメージは形成され、そして変わる。イメージを抱くのは勝手だけれど、それが当たることは、自分が思うほど多くはない。

この作品は、MJQのなかでは取り上げられることがほとんどないけれど、そんな思い出とともにひそかに愛聴している。ジャケットも良い。