バリサクをワンホーンで

ronnie cuber in a new york minute

バリトンサックス界はなぜか白人プレーヤーが多い。2022年に亡くなったロニー・キューバーもその一人。スタジオ・ミュージシャンとして活躍しながら、スティープルチェイス・レーベルにリーダー作を数枚残している。

リズムセクションケニー・ドリューJr.トリオを迎え、ワンホーンで臨んだこのアルバムは快作。
R&Bテイストを織り交ぜて切れ味良くブロウ。高速フレーズも難なく吹き倒す。アップテンポとバラードを取り混ぜた選曲で飽きさせない。オリジナル曲も良い出来だ。ロニー・キューバーのバリトンは、音の迫力が物足りないと思っていたが、そんなことも吹き飛ばす圧倒的なテクニシャンぶり。
ケニー・ドリューJr.も大熱演。前任のジェフ・キーザーが音楽に真剣に向き合っていないとしてロニー・キューバーの怒りを買ってクビになった経緯もあるのだろうか、やや品がないと感じるほどの暴れっぷりで煽る。
ロニー・キューバーの代表作といって良いと思うし、バリトンのワンホーン作品としても出色だ。

ケニー・ドリューJr.、最近どうしているんだろうと思ったら、2014年に56歳で亡くなっていた。合掌。