エモいアルトの名盤

dylan cramer all night long

ソニー・クリスが好きいうのはある種の気恥ずかしさをともなう。いったんカミングアウトした以上は開き直るしかない。演歌っぽいと言われようが、下品と言われようが、好きなものは仕方ない。

日本人に人気があるソニー・クリスだが、外人のなかにも日本人的メンタリティを持っている人はいるもので、こんなアルト吹きがいるとは知らなかった。
ディラン・クレイマー。1958年生まれのカナダ人。すでにベテランといえるミュージシャンで、ソニー・クリスそっくりのアルトを吹く。ソニー・クリスのレコードを聴き、ロサンゼルスまで行きソニー・クリスに師事したというからホンモノだ。

このアルバムでは、エスターテ、黒いオルフェ、ストールンモーメンツといったジャズスタンダードを中心に演奏しているのだけれど、選曲がハマっていてまるでソニー・クリスが吹いているかのよう。艶やかでエモーションなアルトが最高だ。ジャズ喫茶などでかかったら、みなジャケットを確認すること間違いなしの名盤だ。
ソニー・クリス に捧げた1997年のデビュー盤では、クリスのレパートリーを中心に吹き込んだようで、そちらも聴いてみたい。