ソニー・スティット with ハンプトン・ホーズ

強烈な個性はないけれど、アルトもテナーも超一流。芯のある綺麗な音で澱みなく歌う。ソニー・スティットほど「職人」という言葉がピッタリくるミュージシャンはいない。

いつの時代もソニー・スティットは高いクオリティを維持している。1950〜1960年代はもちろん、もしかしたらピークは1970年代ではないかとすら思う。
例えばこれも素晴らしい出来。

sonny stitt so doggone good

ピアノにこの時代おなじみのバリー・ハリスではなくハンプトン・ホーズを迎えているのがミソ。バップ色が少し薄まって、サウンドがよりダイナミックに感じられる。タイトルをwithハンプトン・ホーズとすればもっと売れていたのではないか。
録音も良く、スティットのサックスが気持ち良く鳴り渡る。素直で外連味のないソニー・スティットのサックスを浴びる。バカボンのパパじゃないが、それでいいのだ。

興味も関心もなかったソニー・スティットに、いつのころからか惹かれるようになったのは、手仕事や民藝に興味をもち、職人技に敬意を抱くようになったことと関係があるような無いような‥‥。技を磨くことで生業を立てていく。それを美しいことと気づいたのはそれほど昔のことではない。
これから先も新しい発見が待っているはず。長生きしなくちゃ。