公営企業は時代錯誤か

この国はいったいどうなってしまうのだろう。
今の日本は倫理的価値のプライオリティが相当低くなってしまった。原因はどこにあるかといえば、内田樹が言うように、社会全体が企業の価値観で覆われてしまっているからではないかと思う。
会社では、社長が独裁と批判されることもないし、上司の命令には従うのが当然で、パワハラは珍しいことではない。お気に入りの部下を出世させるのは当たり前だし、責任を取らされないようにするには、立場で言うことを変えるのが一番だ。忖度なんて、ヒラメ社員の得意技。
こんな企業社会にどっぷり浸かっていれば、アベがやっていることは普通に映るだろうし、会社に比べたらまだマシなほうかもしれない。

社会をまっとうにするには企業社会を変えなければならない。SDGsはその試金石になるが、理解も共感も得られていない。かといって公益資本主義というコンセプトも、どれだけ実効性あるものになるか、まったく未知数でしかない。
トレンドとはいえ、民間企業が資本主義と相性が悪いものを取り入れようとしても、面従腹背が広がるだけだ。新しい社会のかたちをつくるのは、民間企業では無理であり、公営企業やNPOのような公共性を基軸とした団体の存在を大きくするしかないのではないだろうか。
振り子は一方に振れすぎたら自然に反対方向へ触れる。それが摂理なのだから。