米国大統領選はバイデンの勝利でようやく決着した。
大阪の住民投票といい、大接戦ながら2つとも良識派が制し、少し潮目が変わっている気配を感じる。コロナがなければ、大阪の住民投票もトランプも圧勝していた可能性が高い。コロナは間違いなく世界を変えた。
それにしてもカマラ・ハリスの演説を聴いていると、トランプとのギャップの大きさに唖然とさせられる。
これがアメリカのダイナミズムだ。日本のリベラル勢力は未来への希望を示さないといけない。希望こそが前へ進む力なのだから。
ノスタルジックで愁いを含んだイタリア映画が好きだ。『ニューシネマパラダイス』を筆頭に、ヴィスコンティ、フェリーニ、ベルトリッチといった映画史を彩る巨匠たちの作品もけっして難解ではない。フランスなど他の欧州映画よりも日本では受け入れられているのではないだろうか。
イタリアのジャズもいい。エンリコ・ピエラヌンツィやエンリコ・ラヴァなどは安定して良作を出しているし、ファブリツィオ・ボッソやジョバンニ・ミラバッシの人気も高い。なかでも90年代にアルド・ロマーノがパオロ・フレスをフロントに迎えたカルテットは、イタリアジャズの水準の高さを示している。
aldo romano Non Dimenticar
これは彼らの素晴らしいバラードアルバム。チェット・ベイカーをなぞるような「エスターテ」を聴いていると、改めてチェットの凄味を感じるけれど、パオロ・フレスのバラードプレイにはうっとりさせられる。ジャケットがもうちょっと良ければ、人気盤になっていてもおかしくない隠れ名盤。
Ron Carter The Bass And I
スティーヴン・スコットは、マルグリュー・ミラーの後継者的な立ち位置のホープだった。デビューも早く、ロン・カーターやソニー・ロリンズのバンドメンバーとしてキャリアを重ねた。でも、マルグリュー・ミラーほどの評価を得ることはできず埋没してしまった感がある。まだ51歳と若いので、過去形にしては申し訳ないけれど。
マルグリュー・ミラーが非凡な中庸さを発揮したのに対して、スティーヴン・スコットのピアノは時折輝きをみせるものの、全体としては印象に残らない。一聴でそれとわかる個性が希薄だ。
しかし、良いピアニストであることは確かで、個性の希薄さがちょうど良い按配に働くときもある。
それが日本人に人気の名曲を集めたsomethin' elsのこの作品。中庸と凡庸のあいだを行き来するスティーヴン・スコットのピアノによって、結果的に飽きのこない作品に仕上がったといえる。
ウィリアム・クラクストンにしては、やや陰影が足りないジャケット写真同様、名盤一歩手前の佳作。
jazz seen
ティル・ブレナーによるウィリアム・クラクストンのドキュメンタリー映画のサントラ。ティル・ブレナーのセンスが光る。さまざまなアーティストの演奏が編集されたかたちで聴けるのは楽しいし、ながら聴きにはちょうどいい。アート・テイタムやベン・ウェブスターはアルバム1枚聴き通すのはしんどいけれど、こんなかたちで挟み込まれると個性が際立って面白い。
かつてカフェバーという業態があったけれど、そんなちょっとお洒落な店で静かに流れていそうなジャズ。
そういえば新宿のピットインが伊勢丹のほうにあったころ、refrainというカフェが近くにあった。白を基調にした内装で清潔感があって新宿に行ったときにはよく立ち寄った。ほどよくお洒落で気遅れするほどでもない新宿Refrainは、田舎者にとって大切な店だった。
国民的アイドルグループ、嵐が結成21周年の日に無観客ライブ配信を行った。2時間ほどのライブを2本。1本4800円だというから、2本で1万円近い。ビックリだが、ファンクラブ会員のかみさんに付き合って2本とも見てしまった。
もうすぐ活動休止となるので、かみさんが嵐ロスに耐えられるかどうか心配だが、それはさておき、すっかり嵐に詳しくなった。
嵐の人気の理由はいちばんにチームワークの良さにある。SMAPが最後は分裂してしまったように、5人がいつまでも仲良くあり続けるのは奇跡に近い。ところが嵐の場合は、分裂する危険性が感じられない。メンバー全員が個人とチームのバランスのとり方、チームワークを維持する術を身につけている。
前向きで優しい歌、ダンス、チームワーク、バラエティもこなすそつのなさ。嵐を見ていると、いま日本人が求めているものが見えてくる。会社も同じ。
個人的には縁のないものばかり。もともと古くさい人間だという自覚はあったが、日本人がすっかり変質したことをつくづく思い知る。
かといって何も変えるつもりはないけれど。
2万票弱の差で維新の会の謀略が否決された。この構想が実現すれば大阪市がなくなるということが知れ渡り、維新の会の胡散臭さ、体質の危険性に無党派層が気がつきはじめた結果といえる。地道に辻説法を続けた山本太郎の力を最大限に評価しなければならない。内田樹らがいくら頑張っても山本太郎の演説力には敵わない。
松井、吉村ともに残り任期をまっとうするという。残された期間で利権をしゃぶり尽くすつもりに違いない。カジノや万博の行方をはじめ、彼らの動向には十分注視する必要がある。
チンピラ松井は任期満了後、政界を引退するらしいが、そうなれば橋下徹が再登板する可能性がある。落日を迎えた維新の会にとどめを押すことができるかどうか。日本人の成熟度が問われる。