ハンプトン・ホーズのあり得た未来

hampton hawes bird song

1950年代の2つの未発表音源を組み合わせたアルバム。投獄前のハンプトン・ホーズは絶頂期で、1曲目のパーカーナンバーから元気いっぱいにぶっ飛ばす。
20代の若きハンプトン・ホーズには武骨さと華麗さを兼ね備えた独特の魅力がある。とりわけこのアルバムからは、バド・パウエルオスカー・ピーターソンを足して2で割ったような印象を受ける。ヘロインで投獄されることがなければ、もしかしてフィニアス・ニューボーンjr.のようなピアニストになっていたかもしれない、そんな想像をしてしまった。
フィニアス・ニューボーンjr.がコンテンポラリーに移籍して最高傑作『A World of Piano!』を発表したのが1961年。出獄後のハンプトン・ホーズはどう思っただろう。フィニアスは二人いらない。

出獄後のハンプトン・ホーズは、投獄とビル・エヴァンスの登場に影響を受けて演奏スタイルが変わったといわれるが、実はフィニアスの存在が大きかったのではないだろうか。
復帰後コンテンポラリーから離れてからハンプトン・ホーズのピアノは翳りを帯びて新たな魅力を獲得した。運命はどこで変わるかわからない。