憂愁のハンプトン・ホーズ

hampton hawes blues for bud
f:id:milesmode:20210310235112j:plain

ハンプトン・ホーズのピアノは、キレが良くてどこか憂いがある。哀愁の名曲「sonora」が収録されたこのアルバムはMPSの『Hamp's Piano』の陰に隠れているけれど、ハンプトン・ホーズの名作群のなかでも屈指の名盤だと思う。「sonora」はじめ良い曲ばかりだし、プレスティッジとは全く違う音で録れているアート・テイラーのドラムも素晴らしい。

オリジナルの『Spanish Steps』ともども入手困難になっているようなので、この際ジャケットを一新して再発してほしい。こんな精気のないハンプトン・ホーズの顔では、内容以前に誰も買う気がおきまい。

短い生涯に多くの名作を残したハンプトン・ホーズ。個人的にはコンテンポラリー時代よりも、ウエストコーストの軽さが消えたこのころのほうが好きだ。ビル・エバンスの影響なのか、あるいは数年間の刑務所暮らしの影響なのか、ピアノに憂いが増している。