乗鞍岳下山行

かみさんがコロナに罹ってしまい、治ったとはいえ体力が戻っていない様子。当初予定していた裏銀座縦走は断念し、空木岳に変更したが、直前になって空木に行く自信がないと珍しく弱音をいう。リハビリを兼ねて手軽に歩けるところへ行こうと行先を乗鞍岳に変更した。

畳平から大黒岳、富士見岳と登る。どちらも山頂まで10分程度にもかかわらず、かみさんはしんどそう。それでも、なんとか頂上に辿り着くと、穂高の吊り尾根が眼前に翼を広げ、野口五郎岳や水晶など北アルプスの山々が連なる絶景が出迎えてくれた。

でも、大黒岳にも富士見岳にも頂上に人がほとんどいない。あまりに風が強くていられないのだ。時折り突風が襲い、飛ばされそうで気持ちが萎える。
かみさんの体力も厳しそうだし、剣ヶ峰へは登らずに肩の小屋から下山を決めた。
リハビリにはちょっと歩き足りない。三本滝まで行けばバス代も節約できる。幸い、ところどころバス停がある。歩けるところまで歩いて下ることにした。

下りが得意なかみさんは、歩けば歩くほど調子が上がり疲れもない模様。一方、下りが苦手な自分は膝裏が痛み出し、休み休み歩きながらようやく三本滝にたどり着いた。


初めて見る三本滝に言葉を失う。
森の奥に全く個性が違う3種類の滝が一堂に会して並んでいる。辛い思いをして歩いてきたからだろうか、格別にありがたく思えた。

それにしても三本滝という名称の味気なさ。加えて3つの滝は、右の滝、真ん中の滝、左の滝としか言わないらしい。言霊の国ニッポンとしては不思議なほど飾り気のない隠れた名爆だと思う。