欧州映画に震撼


映画マニアの方にいただいたチラシに惹かれ、久しぶりに映画館でヨーロッパ映画を観た。
ベルギーの女性監督、シャンタル・アケルマンの『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』という長いタイトルの作品だ。1975年発表だが、英国映画協会が10年ごとに発表している「史上最高の映画100」において、昨年1位に輝いたのを機に注目が集まり、過去の作品が上映されている。
チラシに「史上最高の映画』などと謳われたら観に行かざるをえない。小雨模様のぐずついた天気に映画はピッタリ。ミニシアターとはいえ、アップリンク吉祥寺は満席だった。
ベルギー出身の監督だが、実質的にフランス映画。フランス映画というとゴダールに代表されるように短編というイメージだけど、この作品は3時間21分の長尺。一人の女性の日常が長回しでじっくり描かれ反復される。主人公の女性は一人でいることが多く、その間は言葉を発することはなく、セリフは極端に少ない。
これだけ眠くなる要素が揃っているにもかかわらず寝ている人はいない。修行のようだと思いつつ耐え続ける。何度も寝落ちしそうになりながら、なんとか最後まで観終えることができた。
結論からいえば、これは紛れもない傑作だ。ルーティンを繰り返す生活。そこに綻びが生じ、衝撃的なラストを迎える。その間の描写がリアルなだけに、主人公の女性の心の動きに恐ろしさを覚える。
こういう映画は大都会じゃないと観れない。今のうちに観れるだけ観ておこう。