いまさらブルーベック

いかにも白人的なデイヴ・ブルーベック・カルテットは長年好みではなかった。ところがジョー・モレロのドラムに耳を傾けるようになり、このグループの演奏を楽しめるようになった。変拍子も難なくこなすジョー・モレロのドラミングは、キレが良く現代的で、アリ・ホーニグを思い起こす。とりわけこのライブアルバムはジョー・モレロの多彩で軽快なドラミングが全開。


dave brubeck quartet at carnegie hall

ブルーベック・カルテットがそれほど好きでなかったこともあって、このアルバムは過去に何度か処分しようとした。そのたびに思い直し、処分を免れ生き残ってきたのはジョー・モレロの叩き出すドラムの生命力のせいだったのかもしれない。

このグループの魅力はポール・デズモンドの天使のようなアルト。ブルーベックのピアノは正直どうでもいいと思っていた。ところがブルーベック抜きのポール・デズモンドのリーダー作を聴くと、ぜんぜん面白くない。そこでようやく、ゴツゴツと硬いブルーベックのピアノがあってこそデズモンドの流麗なアルトが美しく響くということを認識する。さらに、ジョー・モレロのドラムに生命力を感じ、サウンドは輝きを増して心に響く。いまさらながら、よく出来たグループだと思う。