丸くなる人

niels-henning ørsted pedersen this is all i ask

歳をとって丸くなるのは良いことに違いない。
若い頃とんがっていたり不良だったりした人ほど、歳を取ってカッコ良くなっていたりする。角がとれて人間に幅がでるということは優しくなるということでもある。ニールス・ペデルセンのこのアルバムを聴いて、そんなことを思った。

超絶技巧のベーシストというふれ込みでシーンに登場したペデルセン。ブンブンうねるベースがどうにも気持ち悪く、遠ざけてしまっていた。久しぶりにその演奏に接したのはケニー・ドリュー追悼盤『friend forever』。抑制された情感表現に円熟味と歳月を感じた。
1998年発表のこのアルバムは、バラエティに富む内容が裏目に出て、やや散漫な印象を受けるものの、人間性の豊かさ、優しさが音楽に表れているように思う。ジャケット写真の表情も柔らかく、若い頃とは別人のようだ。58歳という若さでの急逝が惜しまれる。