先週いっぱいでかみさんの勤務が終わり、有給休暇の消化に入った。もう会社に行くこともない。長年勤めた会社を退職するときを迎えて、寂しさと感慨が込み上げているのではないかと想像したが、本人は解放感でいっぱい、センチメンタルな気分になることもなく、いたって意気軒昂。男女の違いを感じさせられたが、それだけストレスを抱えていたということだろう。長年お疲れさまでした。
本当にセンチメンタルな気分のときには、このアルバムでも。
Bobby Hutcherson For Sentimental Reasons
新主流派の代表格だったボビー・ハッチャーソン。1980年代には保守化し、緊張感のないやや緩いセッションを繰り返していたように思うが、時を経て2000年代に入ってスイスのKind Of Blue Records に素晴らしい作品を残した。
そのうちの一つであるこの作品は、美しいメロディが敷き詰められた、ジャズというジャンルを超えた優しい音楽。歳をとるにつれ角がとれて柔和になったボビー・ハッチャーソンが寡黙に、無心にマレットを振る姿が目に浮かぶ。
欧州レーベルにもかかわらず、フィル・ウッズやジョージ・ケイブルスなど米国のミュージシャンのリーダー作をリリースするKind Of Blue Records。ケイブルスの『A Letter to Dexter』も素晴らしい出来だった。カタログ数は少ないが、良質な作品をリリースするレーベルとして注目しておきたい。