"イタリアの至宝"、エンリコ・ラヴァ。美しくて伸びやかな音は天下一品だし、バラードプレイでの張り詰めた緊張感は"至宝"という称号にふさわしい。一方でエキセントリックでダークなフリージャズがいつ飛び出すかわからない。振れ幅の大きさに警戒が必要で、のんべんだらりリラックスしていられない。
エンリコ・ラヴァのアルバムで比較的心穏やかに聴き通すことができるのがこの作品。
Tommaso-Rava Quartet
La Dolce Vita
一瞬「トマッソ・ラヴァ?」と思ってしまうグループ名とサントラのようなジャケットに購買意欲がわく人はいないだろう。映画音楽を題材とした親しみやすい作品で、イタリア最高のメンバーで組んだ鉄壁の布陣が素晴らしい仕事をしている。
孤高の辛口トランペッターとしてのエンリコ・ラヴァはECMの作品群で味わうとして、たまには甘口のラヴァも楽しみたい。とはいえ普通のトランペッターよりは辛いけど。
それにしても、ミケランジェリに似てる気がするのは自分だけ?