日本人の自画像

ウケ狙いでおちゃらけた発言を繰り返していた法相が更迭された。死刑執行の重みを受け止めることができない大臣の人間性に非難が集中したかたちだ。

でもちょっと引っかかる。日本人はほんとうに死刑の重みを感じているのだろうか。世界的には廃止されている制度について議論がなされる気配はまったくないし、それどころか死刑賛成が多数を占めている。
太平洋戦争のときの数々の蛮行をはじめ、戦後の企業社会ではパワハラがあたりまえのように行われていた。今なお、ノルマやパワハラは必要悪と開き直る人も少なくない。
国権主義と官尊民卑は日本人に染みついたものであり人権感覚の欠如と表裏一体。それが自己責任論と結びついて冷淡な社会を形成している。

更迭された法相の評判を耳にするにつれ、この警察官僚出身の政治家は日本人の自画像のように思えてならない。

号外を出すなんて頑張ってるね、信濃毎日新聞