追悼リッチー・コール

リッチー・コールが亡くなっていたことを知った。ゴールデンウィーク中の5月1日というから1か月以上前のことになる。彼の娘によれば、寝ている間に亡くなったという。老衰の自然死と報じられているが、72歳という年齢からは老衰とは考えにくく、突然死というべきだろう。逆に不自然さを感じてしまった。
デビュー当時はタモリと掛け合いをしたりで大人気のエンターテイナーだった。快調に飛ばす演奏が最高に気持ちよく、とりわけ『Alto Madness』収録の「Last Tango In Paris」は名曲名演として忘れ難い。上手すぎるがゆえに、はしゃぎ気味になるのがたまにキズで、その後話題にも上らなくなってしまった。名盤といえる作品はなかったが、各地を転々としていたことも影響しているだろうし、そもそも彼自身に作品を残すという意思がなかったようにも思える。
アルトの音がほんとうに美しくて、個人的には、いつかきっと名盤と呼べる作品を残すはずと思って追いかけていた。

richie cole plays ballads and love songs

2015年にバンドのベーシストに勧められて吹き込んだバラードアルバム。自主制作らしいけれど、結局この作品がいちばん良いのではないだろうか。良き理解者に支えられて幸せな晩年を送ったと思いたい。合掌。