天神橋筋商店街で、辻まこと

日本一長い商店街、天神橋筋商店街を歩いてみた。お目当ては、天牛書店天神橋筋店。

アーケード街が南北にどこまでもまっすぐ続いている。まん中ぐらいから入ったのか、どっちを見ても終わりがまったく見えない。それほど人が多いわけでもないので、通りを先々まで見通せるにもかかわらずだ。これでやっていけるのだろうかと、余計な心配をしてしまった。

天牛書店天神橋筋店は古書店とは思えない小綺麗で洗練された構え。客の平均年齢は高いが、なかなか賑わっている。置いてある本の質は高い。ただ、掘り出しものはないし、ややスノッブすぎるという面もあろうか。

 

商店街を歩いていると、古本屋がいくつかある。そのうちの矢野書店というところでゲットしたのがこれ。

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初版3000円なら安いよね。

辻まことの父親はダダイスト辻潤、母は伊藤野枝辻潤はよく知らないが、放浪の末に餓死したらしい。辻まことは若い頃の写真を見ると、ちょっとやくざなイケメンだ。ヒリヒリするような男だったに違いない。

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この人の軽妙さとキレのある文章が好きだ。付き合いにくい面もあったのではないかと想像する。晩年の好々爺然とした風貌を見ると、幸せな人生を送ったように思えるが、わからない。西木正明が『夢幻の山旅』と題し、辻まことの生涯を書いている。ずいぶん前に買ったまま未読なので読んでみよう。

大阪の古書店は奥深い。趣味人が多いのかもしれない。それにしても矢野書店の店主、めっちゃコテコテの大阪人やったなぁ。