バラードの名手ルイ・スミス

louis smith ballads for lulu

ブルーノートから2枚のリーダー作を発表したことでジャズの歴史に名を刻んだルイ・スミス。1作目の『Here Comes Louis Smith』はトランジションレーベルの音源をアルフレッド・ライオンが買い取ったものなので、ブルーノートでのリーダーセッションはチャーリー・ラウズを迎えたクインテットによる『smithville』のみ。
その『smithville』は「embraceble you」が印象的、というかこの一曲だけにあるといっても過言ではないと思う。終盤にチャーリー・ラウズがオブリガードをつけるだけで、ほぼワンホーン。まろやかな美しい音で伸びやかに歌い上げる演奏を聴けば、誰もがルイ・スミスが名手であると認めるはず。

それから30年あまりを経て発表された本作は、ワンホーンのバラード集。悪いわけがない。
『smithville』での「embraceble you」同様、伸びやかな美音でバラードを素直に演奏している。ピアノのジム・マクリーニーも好演。
やや一本調子ではあるものの、トランペットのワンホーン作として珠玉の名品といって良いだろう。さすがスティープルチェイス。ミュージシャンをよく理解している。

落下の解剖学

カンヌ映画祭パルム・ドールを受賞した『落下の解剖学』を観た。
感情が爆発するシーンでも演技過剰にならず、抑制的な主人公の演技が素晴らしかった。夫婦間の関係が法廷で暴かれていく過程は迫力があって、2時間半緊張感が持続した。
後味の悪さを感じるのは、主人公の人間性に今ひとつ共感できず、疑惑が解消されないからだろう。そこまで計算づくなのだから、やはりフランス映画は一筋縄ではいかない。

下関が体現する諸悪の根源

相変わらずバカどもが表敬訪問のニュース。時代遅れもはなはだしい地方の"実力者"たち。それを報じるマスメディア。一刻も早くみな退場を願いたい。
あらためて、下関のふぐなど金輪際食べないと誓う。

名コンビによるミンガス集

pepper adams plays the compositions of charlie mingus

マイナーレーベルにのこされたペッパー・アダムスのミンガス曲集。
ペッパー・アダムスの野生味のあるバリトンはミンガスワールドと相性が良い。そこにハンクとサドのジョーンズ兄弟が加わって洗練されたミンガス集になった。

ドナルド・バードサド・ジョーンズといった知性派と組んで活躍したペッパー・アダムス。この作品の翌年に誕生したサド・ジョーンズ=メル・ルイス・オーケストラにも参加。さらに1966年にはmilestoneレーベルに『Mean What You Say』というシブい名盤をのこしたが、これもサド・ジョーンズとの共作だった。
ドナルド・バードとの双頭グループほど有名ではないけれど、サド・ジョーンズ=ペッパー・アダムスは名コンビだと思う。
かつてはこの人のバリトンが邪魔に思えたが、いまではペッパー・アダムスを聴きたくてアルバムを取り出すようになった。
バリトンという楽器自体マイナーなうえにマイナーレーベルの作品で注目されることがないけれど、プレイヤーとしてだけでなく、音楽家としてのペッパー・アダムスの力を感じる作品。

気分はもう反米?

FOXニュースの元キャスター、タッカー・カールソンによるプーチンへのロングインタビューはロシアの立場と論理がよくわかる内容で、ウクライナ戦争について日本人は何も知らされていないということがよくわかった。プーチンの知的で落ち着いた振る舞いは大国の指導者として堂々としていてロシア国内で支持率が70%を超えるのも当然に思える。


こうした報道が日本では右寄りのSNSからしか発信されない。少なくともリベラル側のメディアは、ウクライナ支援などやめよと態度を表明すべきだ。
日本の大手メディアはアメリカのプロパガンダ機関に堕している。対米従属は政治だけではない。テレビや新聞からスポンサーが離れているのは自業自得といっていい。

日本の経済的地位は低下し、一方で税と社会保険料は上がり続け、生活は苦しくなる一方だ。凋落の要因の一つはアメリカの属国として収奪されていることがある。自民党政権はそれにストップをかけるどころか、年々属国ぶりを増している。そのことに苛立ちを覚える人が増え、年々反米気分が高まっている。タッカーカールソンのインタビュー動画が驚くほど視聴回数が多いことはそれを証明している。

このままでは分断が進むアメリカと同じ道を歩む。政治は危険な兆候を感じ取る能力を失っている。救世主はいない。

飛騨古川再訪


ぶどうの剪定が一段落したので飛騨古川の温泉宿へ慰労旅行に行った。
この小さな昔町を訪れるのは二度目。高山と違って観光客も多くなく静かな町だが、春節で中国、台湾からの観光客があちらこちらに見受けられた。日本人でもあまり知らない町なのに、よく調べて来るものだと感心する。


観光スポットになっている三澤ろうそく店。話好きで面白い店主だった。
素朴な和ろうそくは安価で実用向け。浄土真宗の3つのお寺が町の中核的存在になっていて、三寺参りなどでも和ろうそくが使われている。そんなこんなで安定した需要があるのかもしれない。
飛騨古川は城下町とのことだが、あまり城下町っぽくはなく、寺町といったほうが自然に思える。

老舗旅館の温泉と料理を満喫。帰途、中津川の苗木城に立ち寄る。
古い山城跡には石垣が残っていて見どころ十分。展望も素晴らしく、期待以上だった。もう少し知名度を上げる努力をすれば、観光客も増えるはず。

やはり旅行は楽しい。好きなときに旅行に行けるよう、働いて軍資金を貯めないと。