PERFECT DAYS

ヴェンダース作品を観るのは何年ぶりだろう。
小津安二郎を敬愛するヴェンダースらしい、静かな感動を呼ぶ美しい映画だった。
心優しく仕事に忠実な主人公・平山は口数が少ない。単調な日常に退屈するわけでもなく、ささやかな楽しみに満たされている。昭和の匂いが残る東京の街と安アパートでの暮らし、公衆便所ならぬ現代的でお洒落な公共トイレ。混沌とした東京の街をとらえる視線は『東京画』以来、変わっていない。銭湯、古本屋、居酒屋等、平山が愛する場でのディテールが楽しい。
カンヌ映画祭主演男優賞を獲得した役所広司による圧巻のラスト。
ヴェンダースの作品群にまた一つ名作が加わった。