壁を越えられるか

Kenny Garett Beyond The Wall

今年の漢字は「税」だという。2つの戦争で世界が混沌としているなかで、あまりのせせこましさに力が抜ける。

2023年を振り返り取り出したのがこのアルバム。
音が軽いケニー・ギャレットだけど、本盤はそれが気にならない。最高のリズムセクションファラオ・サンダース、ボビー・ハッチャーソンが加わり、コルトレーンの魂が降臨して畢生の傑作となった。
中国を訪れたときの印象を表現したというけれど、サウンドはあくまでもスピリチュアル。エスニックなオリエンタリズムはさほど感じられない。人間の精神は国境の壁を越えるということを伝えようとしたのかもしれない。

宗教、民族、国家‥‥地球上で争いと殺戮が絶えないのは、何かに属していないと気が済まない人間の本質に起因している。何かに属するということは属さない人間を排除することにつながる。他者への畏敬を持ち続けなければ、哀しいかな、争いは消えない。
グローバルサウスの存在感は増している。2024年、世界はどう揺れ動くのだろう。

国内では自民党のパーティー券事件でもちきりだ。特捜のターゲットは、西村、萩生田か。これらを挙げない限り、特捜部は敗北だろう。さて地検特捜部は壁を越えられるだろうか。