ビル・エヴァンス94回目の誕生日に

bill evans paris concert edition two

8月16日はビル・エヴァンスの誕生日。1929年生まれだから、生きていれば94歳ということになる。
誕生日を祝ってエヴァンスを聴こうと、ピックアップしたのは、没後発表されたこの作品。晩年のエヴァンスの美しい演奏を聴きたいけれど、『consecration』のような鬼気迫る演奏はしんどい。その点、パリコンサートの2枚は日常的に聴ける。
edition oneは、アンリ・カルティエ=ブレッソンの写真を使ったジャケットが演奏内容とマッチして、すべてが美しい。これに対してedition twoは、なんといっても長尺の「Nardis」が目玉。長いピアノソロからドラムとベースが加わる瞬間、鳥肌が立つ。

晩年のビル・エヴァンスは、諦念感を湛えた耽美的演奏をするかと思えば、狂気を含んだ切迫した激しい演奏をする。その振れ幅の大きさが抱えていた闇の深さを示しているように思える。