深みを増したジョージ・ケイブルス

George Cables Icons & Influences
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アート・ペッパーのバックで美しいピアノを聴かせてくれたジョージ・ケイブルス。晩年のフランク・モーガンも彼のサポートを受けて素晴らしい作品を残した。
サイドで輝きを放つピアニストといえば、シダー・ウォルトンやマルグリュー・ミラーの名が浮かぶ。その2人に捧げたオリジナル曲が収録されている。どうしても聴いてみたくなった。

結論からいえば、この人はやはりコンポーザーというよりはピアニストだ。前半のオリジナル曲よりも後半のスタンダード曲の演奏のほうが断然良い。なかでも知的で流麗な「Nature Boy」は、この曲最良のバージョンではないだろうか。

ジョージ・ケイブルスは1980年代前半にアトラスレーベルにいくつかリーダー作を残している。スタンダード曲を目眩く運指で軽快かつ華麗に弾き、清新な響きがあったけれど、ややテクニックに傾いていたように思う。
30年以上経たこの作品では、独自の解釈でスタンダード曲から魅力を引き出し新鮮に響かせている。もともとタッチが綺麗で上手い人だけれど、ピアニストとしての深みを増した。上品で流麗なピアノは健在。いい歳月を重ねてきたようだ。