NEXCOの判断をめぐって

新築する家の設計打ち合わせのため、金曜日、雪予報のなか伊那谷へ向かった。
朝は事故で伊那〜駒ヶ根間が通行止めとなっていたが、雪が本格的に降りはじめると諏訪〜中津川間が通行止めになった。やむなく諏訪から一般道を走ったが、伊那市で国道に合流すると、渋滞でまったく動かなくなった。どうやらトラックがスリップして立ち往生しているらしい。しかもあちこちで、そんな事態が発生しているようだ。

あきらめて広域農道を行こうとしたのだが、それが失敗のもと。急坂を登りはじめたところでトラックが坂を登れず止まっている。それを追い越そうとしたら対向車がきたのでブレーキを踏んだらスリップして動かなくなってしまった。バックして場所を変えても何をやってもスリップして動かない。まさかスタッドレスでこんなことになるとはと途方に暮れた。
調べたら1キロほど離れたところにイエローハットがある。かみさんが雪が激しく降るなかチェーンを買いに行き、二人で四苦八苦してなんとかチェーンを付け、ようやく脱出することができた。
この時点で渋滞にはまって3時間、立ち往生してから2時間が経過していたが、そこからがまた長かった。

再び国道に戻ったものの相変わらず大渋滞。1時間以上ピクリとも動かない。ようやく動き出したと思ったら、また1時間動かない。そんなことの繰り返し。
普段なら東京から3時間半の道のりが、11時間かかってやっとの思いで到着。
設計の打ち合わせどころではなくなってしまった。

10日昼頃には八王子〜中津川が通行止めになっていた。中央道がこれだけ長い区間通行止めになったのは初めてではないだろうか。
高速道路は社会インフラであり、電気や水道と同じく簡単に通行止めになっては困る。物流がトラック輸送に依存していて、高速道路はサプライチェーンの大動脈として重要性を増している。その高速道路が通行止めになると、トラックは一般道を走らざるを得ない。それによって地域交通網がマヒしてしまったわけだが、その責任をNEXCO中日本が問われることはない。

新名神で立ち往生があったばかりで、NEXCO中日本は立ち往生が生じたときに批判されるのを恐れて早めに通行止めにしたのではないだろうか。安易に通行止めにする前例ができてしまったような気がしてならない。
リスクヘッジと保身の日本では、NEXCO中日本の判断は支持されるのだろう。でも、安全確保に全力を尽くすことなく安易に通行止めにするのは、社会的責任の放棄にほかならない。そう考えるのはへそ曲がりだろうか。あの程度の雪で全面通行止めにして良いなら、こんな楽な商売はない。荒天でも通行止めにせずに済む対策をNEXCOには求めたい。