テレビ朝日、フジサンケイグループの傘下へ?

朝日新聞政治部』を読んだ。第一線でならしたジャーナリストだけあって筆力がある。ぐいぐい引き込まれて一気に読み終えた。
登場人物に明らかな悪人はいない。新聞社だけあって魅力的な人ばかりだ。そんな人々が事態の進展にともない、それぞれの個人的な思惑でうごめく。結果として朝日新聞社という組織は変質し、存在意義を失っていく。

筋の悪い力学のもとで組織が動き始めると、引力が働くかのように、あっという間に堕落する。敏腕ジャーナリストがはじき出されていくプロセスは生々しくて恐ろしい。
朝日新聞社がこのていたらく。あちこちで同じようなことが繰り広げられているとは感じていたが、テレビ朝日はさらに酷かった。
『モーニングショー』で玉川徹氏が安倍晋三国葬における菅義偉の弔辞をディスったことが、その筋には許せないらしい。処分は異常で異様、気持ち悪さすら覚える。
社長の篠塚浩と反玉川派勢力がエセ文化人の後押しを得て処分を行ったようだが、自らメディアとしての存在意義を放棄したに等しい。間違った判断だったことは後々明白になるだろう。この会社はもはやフジサンケイグループ傘下に入ったほうがよい。

そもそも菅義偉の弔辞の内容はフィクションの疑いが指摘されている。山県有朋伊藤博文の死に際して詠んだ歌は、安倍晋三葛西敬之への弔辞ネタとして使っていたことが明らかになっているし、山県有朋という歴史的評価が低い人物の歌を取り上げる時点でスジが悪いとしか言いようがない。焼き鳥屋での会話も真偽は疑わしい。格調のない、聞いていれば違和感を感じて当たり前の内容だった。

テレビ朝日の今回の処分問題を見てわかったことは、安倍晋三のみならず菅義偉という政治家を葬らない限り、メディアの正常化、ひいては日本再生はありえないということだ。カルロス・ゴーンの無理筋逮捕を強いられ、世界的に恥をかかされた地検特捜部が五輪汚職でどこまで迫れるか、期待半分で見守りたい。