出羽桜美術館で斎藤真一展

国道13号線を南下していると、天童で「出羽桜美術館」という文字が目に入った。

何を隠そう初めて日本酒を美味しいと思ったのは「出羽桜」を呑んだときだった。フルーティですっきりしていて、とても日本酒とは思えなかった。隣の村山には「十四代」があって、まぼろしの酒として高い値で取引されているが、吟醸酒ブームをつくったのは、「出羽桜」ではないかと思っている。

そんなリスペクトもあって入場料500円を払い、旧邸宅と蔵を利用した小さな美術館に入った。

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建物の中は冷んやりとしている。広い土間の三和土から靴を脱いで上がる。古い民家を見学する要領だ。

旧邸宅はいくつもの間があり、お猪口や李朝家具が並び、中庭には可愛らしい石仏が佇んでいる。当主のコレクションらしい。道楽者だったのだろう。

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企画展は「斎藤真一 放浪記展」。

美術に疎いので、この画家をまったく知らなかった。瞽女や吉原といった近代からこぼれ落ちた世界を丹念に調べて描いており、その作品が展示されていた。個人的には画家としてよりも、こうした民俗学的な接近のしかたと、その成果に興味が湧いた。なかでも越後の瞽女について知りたくなった。

 

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美術館の側には直営と思われる酒店があって、さまざまな「出羽桜」が置いてある。ここまで来たら買わずにはいられない。雄町という酒米を使った「出羽桜」を1本買って家路についた。