グローバル・サウスの時代

さまざまな意見が飛び交ったラグビーワールドカップ南アフリカが1点差でオールブラックスに勝ち、連覇を達成した。
南アフリカといえば、かつてはアパルトヘイトの国というイメージだったけれど、ラグビーを見る限り、さまざまな肌の色の選手が代表として活躍していた。人口が増え続けているので、人種差別の解消が進んで黒人社会が豊かになるような政策を進めれば、まだまだ発展する可能性がありそうだ。

ジャズ界も南アフリカ出身のピアニストが登場。ンドゥドゥゾ・マカティニという名前は発音しにくいし、覚えにくいが、注目すべきミュージシャンだ。ゴツい風貌はピアニストというよりもテナー奏者のよう。
この人はサウンドクリエイターというのが適切に思う。ブルーノート第一弾の前作『Modes Of Communication: Letters From The Underworlds』も良かったけれど、今作はさらにメロディアスなナンバーが揃い、完成度は高い。

Nduduzo Makhathini
In the Spirit Of Ntu

スピリチュアルでありながらディープ過ぎることはない。メロディも親しみやすいし、ボーカルナンバーも魅力的。いくつかのメディアで昨年のベストアルバムに選ばれていたが、現代の名盤といって良い出来だと思う。

現代のジャズは、北欧系の静音ジャズ、グループエクスプレッション主体の米国ジャズ、さまざまな音楽を融合してグルーヴさせるUKジャズなど多極化している。
これら"先進国のジャズ"よりも、ンドゥドゥゾ・マカティニのサウンドはプリミティブさがあって、ジャズ本来のエネルギーに満ちている。ジャズもグローバル・サウスの時代が到来するのだろうか。