「月の光」を聴きたくて

alice sara ott nightfall

ドビュッシーの「月の光」が聴きたくなり、この曲を収録したアルバムを探した。選んだのはドイツ人の父と日本人の母の間に生まれたピアニスト、アリス=紗良・オットの『nightfall』。
フランス人ピアニストが弾くドビュッシーやサティはエレガントに過ぎるというか高踏的に感じられ、肌に合わない。フランス人ピアニストを避け、さらにドビュッシー集ではなくフランス名品集を選んだ結果、このアルバムにたどり着いた。

名は知っていたものの、アリス=紗良・オットのピアノは初めて聴いた。「月の光」もサティのジムノペディもゆったりしたテンポで演奏され、簡素で美しい。タイトルどおり仄暗さを感じさせる内面的な演奏集となっている。柔らかいタッチと良い意味でクラシック臭さをあまり感じさせないフラットな弾き方はジャズファンにも受け入れられるのではないだろうか。

多発性硬化症という難病を抱えていると聞く。末長い活動を祈りたい。