解き明かせない謎

温泉帰りに近くに土偶でもないかと調べてみたら、しゃがんでストレッチする土偶福島市郊外にあることがわかった。道路は空いているし、急いで帰宅する必要もない。「じょーもぴあ宮畑」と名付けられた遺跡へ向かってクルマを走らせた。

その遺跡は阿武隈川を渡った先にあった。白銀の吾妻連峰を遠く望む、いかにも縄文人が好みそうな場所だ。縄文の時代は森に覆われていたのだろうけれど、集落はきっと山を望めるように拓かれていたに違いない。
目当ての土偶は遺跡の一角に建つ「じょいもん」という施設の中に展示されていた。

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座産、あるいは祈りのポーズなどと言われているけれど、珍妙で子供がつくった粘土像みたいだ。そもそもこれは妊婦なのだろうか。山型の頭も変だし、鼻も口も大きくて女性らしさは感じられない。脚や背中はこれ以上は丸くならないほど屈曲し、横から見ると、壺にすっぽり収まりそう。座産や祈りではなく、埋葬するかたちのようにも見える。
頭の形をはじめ謎だらけ。土偶に関してはいろんな本を読んだけれど、どれも完全に肚落ちすることがなかった。解き明かせない謎があるからこそ面白いのかもしれないけれど、せめて自分なりに納得できる解釈を持ちたいと思う。