「sonora」と日本人の変容

ハンプトン・ホーズの名曲「sonora」には2種類ある。『Spanish Steps』(『Blues For Bud』)と『Hamp's Piano』にそれぞれ収録されており、前者が3拍子、後者は4拍子で、違う曲になっている。これについては、後藤誠という音楽評論家のブログに詳しい。

他のミュージシャンが「sonora」を演奏しているバージョンがどれだけあるのかわからないけれど、手元にあるのは、以下の4つ。
福居良『A Letter from Slowboat』、クロード・ウィリアムソン『New Departure 』、ヘルゲ・リオン『To the Little Radio』、 Nick Weldon 『Lavender's Blue』。これらはすべて『Spanish Steps』バージョンだ。

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ハンプトン・ホーズ贔屓のせいか、いずれも本家本元には及ばないと感じるが、このなかでは福居良バージョンがいちばん好ましく響く。やはり日本人はバップピアノで哀愁のメロディを奏でられると弱い。こういうときに自分が日本人であることを自覚することになる。

まぁ、それも過去のことで、日本人の心象風景、メンタリティは大きく変わった。ジャズを聴く人が減っているということは、その証左だろう。若い人たちの心には「sonora」は響かないのかもしれない。寂しいことだけれど。